HRテクノロジー総研調査レポートREPORT

2018.11.01
調査

HR Technology Conference & Expo 2018 レポート

HR Technology Conference & Exposition 2018とは、10月にラスベガスで4日間に渡って開催されたHRテック関連で最大級のカンファレンスです。カオナビHRテクノロジー総研でも業界の最新動向を捉えるため、本イベントを視察してきましたので、今回は、イベントの生の体験談をお送りします。

 

”HRテック関連最大級”の規模感

「Expo」(エキスポ) と呼ばれるベンダー展示スペースへの出展企業数は今年450社を超え、このイベントは出展企業にとってのローンチパッド的役割も果たしており、80以上の新プロダクトのお目見え機会となりました。

 

一方、参加者は全体で8500名超と言われており、HR担当者が導入ソリューションの選定に訪れたり、業界企業がアライアンス先を模索したり、シンクタンクが業界の動向を掴みに来るなど、多様な顔ぶれが訪れています。その中で日本企業からの参加者は100名ほどだったようです。

 

Expoの一角にはスタートアップパビリオンという、スタートアップ企業を集めたコーナーも設けられています。加えて、「Startup Pitchfest」(ピッチフェスト)と呼ばれる、スタートアップ企業のアピールコンテストも開催さされました。予選ラウンドで30社が競い、最終ラウンドでは聴衆もオンライン投票で参加して優勝企業を決定し、賞金が出ます。

 

また、大型スクリーンを利用したベンダーによるデモも20ほど開催されていました。

 

<Conference(左)とExpo(右)の様子>

 

一方で、「Conference」と呼ばれる各種セミナーコーナーでは、HR領域での著名人によるテーマに沿ったプレゼンテーション、数名のパネルによるディスカッションなどを聞くことができます。テーマや様式によっていつくかのカテゴリに分かれており、全部で100程度のセッションが開催されています。

 

今年度のキーワード

今年度の目立ったキーワードとしては以下の4つが有りました。

 

  • Diversity & Inclusion (ダイバーシティとインクルージョン)
  • Wellness
  • AI
  • Analytics

 

キーワード①:Diversity & Inclusion

イベント初日の午前は「Women in HR Technology」というテーマが掲げられ、ADP社(アメリカのタレントマネジメントシステム企業)のチーフダイバーシティオフィサー Rita Mitjans氏のプレゼンを皮切りにマイノリティーの活躍を現実的に促進するための様々なインサイトが共有されました。登壇者の方々は問題がどこにあり、原因が何であり、どのようにアクションすれば効果的かを数字で裏付け、論理的に議論を展開していました。特に印象的だった点は、Diversity & Inclusionをなぜやるかという理由が非常に明快である点です。Diversity & Inclusionは「ビジネスにおけるイノベーションと成功のため」という点が広く共有されているようでした。上述のピッチフェストにおいても、ダイバーシティ賞を受賞したTal Vistaのみならず、優勝もBlendoorという、Diversity & Inclusionに関わるサービスであり、アメリカにおけるこの分野への関心の高さがうかがえます。

※Tal Vista、Blendoorは双方共に、バイアスにつながる属性(氏名、性別など)をマスキングすることなどで、多様で優秀な人材の採用を実現するサービスです

 

<Tal Vista社のTalent Sonarの画面イメージ>

候補者のアイデンティティ(氏名、性別、出身校など)を採用企業に敢えて隠し、無意識のバイアスを除去することで、より良い採用を実現する

 

キーワード②:Wellness

Wellnessが注目される背景には、近年テクノロジーが発達し、いつでもどこでも仕事ができる環境が作り上げられた結果、人間はその限界を超えて働いてしまい、消耗気味であるという課題意識があります。そこで、個々人のウェルネスを良い状態で保つことができれば、生産性が上がるのは当然であり、企業のパフォーマンス向上に繋がるという考え方が広まっており、様々なセッションや商品展示が行われていました。来場者向けに「Wellness Pavilion」「Relax & Recharge lounge」といったコーナーが設けられ、VRを用いた瞑想体験ができるソリューションなどが提供されていました。また、日本における「健康経営」以上に生産性やエンゲージメントへ反映させることへの拘りが強い点が印象的でした。

 

キーワード③:AI

日本同様にAIはアメリカにおいても最注目ワードの一つです。AIが流行りのバズワードに過ぎないのか、今後のソリューションのメインストリームとなっていくのか、関係者の興味関心は高く、AIが関わるサービスの出展やセッションが多数みられました。AIを活用したサービスは多種多様であり、「求職者への質問に回答する」「求人票を添削する」「個々人に最適化されたリコメンドを行う」「従業員の離職リスクを算出する」「従業員の感情を測定する」などが見られました。

また、AIについて論じたセッションで多く見られた論調は、「今のAIは単独で高品質な業務を行うことは困難」「要所で人間の判断・意思決定が必要」「AIを使いこなす人材がこれからは重要になる」といったものでした。想像以上に地に足の着いた堅実な議論だったという印象です。

 

<採用支援ツールMyaの画面イメージ>

AIが自動で候補者とチャット上で対話することで、業務説明や初期選考を行う

 

キーワード④:Analytics

Analyticsも近年注目されている分野です。タレントマネジメントシステムが普及し、様々な人事データが蓄積されるようになったため、次の段階として、人事データの分析・活用フェーズへと興味関心が移行しているようです。まだ、何のために何を可視化し、どうアクションに移し、どのように成果を測定するか、という課題への明確な回答は無いようで、事例紹介もあまり多くはありませんでした。しかし、Analyticsへの興味関心は高く、Analytics関連のサービスも充実してきていることから、アメリカにおける人事データ活用は今後更に活性化していくと予想されます。

 

参加を検討する方への参考情報

以下では、次回以降、本カンファレンスに参加される際に参考になりそうな情報をまとめています。現地の雰囲気を掴むためご覧ください。

 

・事前準備はしっかりと

会期中、多数のカンファレンスやデモ、イベント、展示が複数会場で平行して催行されます。事前に関連情報や各会場の配置をリサーチし、あらかじめ優先順位をつけておかないと、効率的に回ることができません。また、4日間の会期があるものの、「Expo」は初日と最終日はほとんど開催が無いため、サービス展示を見る時間は実質2日間しかありません。限られた時間を有効に使うため、事前にしっかりと時間割などを作っておくことがお勧めです。

 

・足元はスニーカー、服装はレイヤードで

本イベントの会場は広大です。例えば、会場に行くまでも、着いてからも一日中移動の連続になります。我々の滞在中の歩数は1日平均2万歩にもなりました。ここまでの歩数となると歩きなれたスニーカーで行くことをお勧めします。またラスベガスの内外気温差は体感約20℃にも達します。調整の利く服装で臨み、快適に過ごしましょう。

 

<移動経路のイメージ>

道路をはさんだ向かいのホテルから会場への移動だけでも20分。更に会場内でも移動が続きます

 

・朝のコーヒーはカンファレンスホールで

本イベントのスタートは朝が早く、8時からセッションが始まります。眠気覚ましのコーヒーを求めて、会場の手前のスタバには長蛇の列が…。でも、心配ありません。会場ホール内に朝食が用意されており、もちろんコーヒーもあります。なお一番のお勧めは粒入りオレンジジュースです。

 

・英語が苦手でも大丈夫

日本人が参加する場合、どうしても気になるのが英語です。しかし、「Expo」で各社の展示を見るに当たって、そこまで心配はいりません。各社の展示担当は皆親切で、多少拙い英語であってもにこやかに、丁寧に教えてくれますし、製品画面を見ることでかなりの部分は理解することができます。

一方で「Conference」は注意が必要です。パワーポイントなどを用いたプレゼンテーションはまだ良いのですが、対談形式のセッションを理解するには一定のヒアリング能力が求められます。英語が苦手な方は「Expo」や「Conference」の非対談形式のセッションを選んだ方が有意義な時間となる可能性が高いでしょう。

 

・気軽にコミュニケーション

分刻みのスケジュールの合間をぬって、つかむランチボックス。せっかくなので、日常ではなかなか交流する機会のないであろう、居合わせた参加者の方々と相テーブルで挨拶してみましょう。意外なつながりの発見や、興味深い情報の発掘などもあります。会期中に開催されるイベントやパーティにも、スケジュールが許せば参加してみるとよいでしょう。参加者同士の交流からも思わぬ発見があります。

 

・遊び心も忘れない

グローバルリーダーたちのプレゼンテーションは、やはり洗練されています。メッセージが解りやすいだけでなく、しっかりユーモアも交えてくれます。また、ベンダーのノベルティグッズやキャンペーンにもふんだんにユーモアが盛り込まれています。「ピープル1番、ドーナツ僅差で2位!」とうたったドーナツ柄の靴下や、ゴルフパッティングのイベント、レーシングシミュレーションゲームなど、たまの息抜きが色々あり、集中を持続させてくれます。

 

・イベント終了後の情報提供

会期中に会場を自由に出入りできるチケットにはバーコードが印字されており、出展ブースに立ち寄る度にリーダーデバイスで読み込まれていました。このデータは取得企業のマーケティング用途だけではありません。帰国後に「HR Technology 2018 Exhibitor Tracker」(出展社訪問履歴)として、メールで自分の訪問先とその連絡先がリストになって送られてきました。慌ただしく視察した数々のサービスの記憶を辿るには有益なサービスです。

また、一部のセッションは講演資料を後日公開しています。これも非常に有意義な資料です。

 

<Exhibitor Trackerの画像>

自分が訪れたブースと連絡先が記録として参照できる

 

出典:

HR Technology Conference & Exposition 2018ウェブサイト

Tal Vista社ウェブサイト

Mya社ウェブサイト

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