カオナビHRテクノロジー総研調査レポートREPORT

2017.03.09
イベント

カオナビ Management Camp 2016 ④:仕事“以外”の行いがなぜ大切なのか? 会社の未来を左右する「抜擢人事」の肝

12月8日、株式会社カオナビが主催した「カオナビ Management Camp 2016」にて行われたトークセッション「抜擢人事の仕掛けとは」。ここまで3週にわたってお送りしてきたサイバーエージェント(以下、CA)・曽山氏、日本ラグビーフットボール協会・中竹氏、日清食品ホールディングス・橋本氏のスピーチに引き続き、今週からは2週にわたってクロストークの模様をお届けします。前編となる今回はビジネス・スポーツ界の第一線で活躍するお三方に、優秀人材を見分ける「OFF the Field」の重要性について語っていただきました!

 

スピーカー

株式会社サイバーエージェント 取締役 曽山哲人
株式会社TEAMBOX 代表取締役 /(公財)日本ラグビーフットボール協会
コーチングディレクター 中竹竜二
日清食品ホールディングス株式会社 人事部 人材開発室 課長 橋本晃

 

モデレーター
元リンクアンドモチベーション 取締役 /
株式会社JAM 代表取締役社長 水谷健彦

抜擢の基本は「人間性」にあり

水谷健彦氏(以下、水谷):まずは「人材の発掘」というところで進めていければと思います。

 

 

(中竹さんに説明していただいた)このフレーム(※スライド)で、「抜擢人材」のなにを見て、なにを評価して抜擢したことがあるとか、それがうまくいった、みたいな話ができたらと思います。曽山さん、いかがでしょうか?

曽山哲人(以下、曽山):私たちが管理職として人材を登用するときに、管理職の登用基準に入れていることが1個だけあります。それは「人間性」です。人望がない人は、絶対に管理職にしないほうがいい。

(先ほどお話をお聞きして)スポーツでも、そんなにグラウンドの外のところを見ているんですね。びっくりしました

中竹竜二(以下、中竹): 実際、ゲームのパフォーマンスって、例えば、サッカーだと90分で、ラグビーだと80分ですけれど、グラウンドで練習している時間も短いわけですよ。だからどうやってコミュニケーションをとって、「こいつのためにがんばろう」と思うかということが大切になります。つまり、グランドの外でのアティテュード、態度ですね。

周囲に信頼されてこそ「大きな仕事」を任せられる

水谷:曽山さんが石田さんを評価されたとき、どういう部分をどう評価されましたか?

 

株式会社サイバーエージェント 取締役 曽山哲人 氏

 

曽山:一番見たのは、OFF the Jobの部分です。昔、私が営業の管理職で、彼女が営業という上司部下の関係だったときに、彼女自身のミスでトラブルが起きたことがありました。その時、彼女は「私のせいじゃありません」と、私に食ってかかってきたんですよ。お客様が怒っていることを理解しなきゃダメだと私が言ったら、その後彼女は反省して自分のミスを理解したんです。

しばらくして、お客様についてきちんと向き合えるようになってくると、彼女は私に、「もっと大きな仕事を任せてほしい」と言ってきました。その時に、「まだダメだ。トラブルの対応をちゃんと終わらせて、今のお客さんで信頼関係をちゃんと作ってね」と言いました。そうするうちに自分が成果を出すために、周りのチームとの連携をきちんとするようになったんですね。

周りからも信頼されるようになってきて、少しずつ大きな仕事を任せるようになりました。こういった例からも、そのOFF the jobのところが効いてこないと任せられないと感じますね。

水谷:広い視界で、彼女を評価していったということですね?

曽山:そうです。OFF the Jobの姿勢が結果的に信頼を勝ち得てくるなということをすごく感じましたね。

年次を問わず挙手性で抜擢

水谷:橋本さんはいかがですか?

 

日清食品ホールディングス株式会社 人事部 人材開発室 課長 橋本晃 氏

 

橋本:そうですね。我々の教育研修体系ですが先ほどのスライドでご説明した通り、ハンズアップという言葉がキーワードになっています。

選抜研修については、若手層からシニア層まで5つのプログラムがあります。シニア層の研修では、会社側が選抜してノミネートするんですが、若手層のプログラムはハンズアップなので、希望者には等しく門戸を開いています。

曽山:挙手制ということですか?

橋本:そうですね。挙手制です。応募者にはレポートを提出してもらい、書類選考を通過した人をインタビューでさらに選考するステップはあるんですが、希望する者にはチャンスが均等に用意されています。

あとは、弊社ではCEOが次長以上の管理職に年に1回必ず面談を実施しています。CEOのアポイントを取るのは決して簡単ではないのですが、毎年必ず実施しています。おそらくそこでOff the stage の部分は判断しているのだと思います。

水谷:その面談のなかでOFF the Stageを見にいくと。「このあたりを見ていそうだ」みたいなものってありますか?

 

元リンクアンドモチベーション 取締役/株式会社JAM 代表取締役社長 水谷健彦 氏

 

橋本:結果を出すのは大切ですけれど、人間性が本当にしっかりしているかという点について面談や毎日のコミュニケーションでウォッチしているんだと思います。

水谷:仕事のテクニカルなスキルもON the Stageで、そもそもチャレンジできているかという部分はOFF the Stage、人間性のところはOFF the Jobということですよね?

橋本:そうですね。

生活態度の変化がプレーを良くする

水谷:中竹さんはどこを最も重視していますか?

 

株式会社TEAMBOX 代表取締役/(公財)日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクター 中竹竜二 氏

 

中竹: 僕は発掘のところを17歳から見ていくわけですけれど、例えばU20代表のフィジー遠征の時にある選手に関してこんなことがありました。それは高校時代に東北で活躍していた選手です。高校時代は彼の能力だけでチームを引っぱり、1人で独走して、1人でスコアしていました。フィジー遠征でも能力が高いので相手を抜けるんですよ。だけど、強い相手とやると絶対にどこかでボールを取られるという現象が起こったんですね。

それで僕は「どうしてパスできないの?」と聞きました。そこで「パスしたことないですよ」と答えるんですね。でも、すごいいい奴なんですよ。「わかった。お前、よく見たら、普段から人のことを考えてないよね。騙されたと思って、朝起きたら必ず隣の人に『おはよう』と言って。食事行くときにはちゃんと自分のところを片付けて帰る。とにかくそれをがんばって」と言ったら、ツアーの最後のほうには、本当にパスできるようになったんですよ。

曽山:へー。

中竹:彼に悪気はなく、今までは能力が高すぎて1人でやってきて誰も悪いと言わなかったことに対して、「自分の能力を高めるためにラグビーのことじゃなくて生活を変えようね」と言ったら、本当に変わったんですね。

これはトレーニングのコーチング論でもあるんですが、本当に伸ばしたいスキルはそのことだけをやっているときには伸びないんですよ。

水谷:「人材発掘」という意味ではOFF the field・OFF the Jobが弱くてもまずは発掘ありき
ですね。

中竹:そうですね。

水谷:そして、関わるうちにそれが伸びるということですね。

中竹:逆に、同じ能力でOFF the JobとかOFF the Fieldが高い人間は、伸び代がないということかもしれないですね。

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