カオナビHRテクノロジー総研調査レポートREPORT
社内コミュニケーションと働き方に関する調査結果② ~周囲の人の顔と名前を覚えることで、仕事ができるようになる!?~
調査サマリー
顔と名前を「よく覚えている」人は・・・
■仕事ができる!
業務目標を達成している人の割合が「あまり覚えていない」人より36.1%高い
■周囲の好感度がアップ!?
挨拶される側の75.3%の人が、名前も一緒に呼んでもらうと嬉しいと感じる
■仕事だけでなくプライベートも充実し、異性からモテる!?
パートナーがいる人の割合が「あまり覚えていない」人より22.3%高い
調査期間 :2017年11月10日~11月13日
調査方法 :インターネット調査
調査対象 :従業員数100人以上1000人未満の会社で働く会社員(非管理職) 男女20歳~59歳
サンプル数:n=600
以下の年齢、性別でn=75ずつ均等割付で回収。
(20歳~29歳 男女/30歳~39歳 男女/40歳~49歳 男女/50歳~59歳 男女)
調査詳細
トピック① 社内の人の顔と名前を覚えている人ほど仕事ができる!
業務目標を達成している人の割合は、顔と名前を「よく覚えている」人の方が「あまり覚えていない」人に比べ36.1%高い
社内の人の顔と名前を覚えていることと、業務目標を達成することに関係があるかを調べました【図1】。
「あなたは仕事の目標(数値、業務)をどの程度達成していますか?」という質問をしたところ、業務目標を達成している人(達成率100%以上)の割合が、社内の人の顔と名前を「よく覚えている」人は48.4%、「あまり覚えていない」人は30.9%という結果となりました。業務目標を達成している人の割合は、「よく覚えている」人の方が36.1%高く、「顔と名前を覚えている」人ほど業務目標を達成している傾向にあると言えそうです。
仕事ができる人になるための第一歩として、まず社内の人の顔と名前を覚えることに注力してみてはいかがでしょうか。
(※2)「よく覚えている」人を100%としたときに、「あまり覚えていない」人との差を割合で算出。これ以降の調査結果は、すべて値が大きい方を100%として、比較対象との差を割合で算出している。
また、業務目標を達成していることと、目標達成のために社内メンバーとの協調を重要視する傾向に関係があることが分かりました【図2】。
目標達成のために社内メンバーとの協調が重要だと感じる人は、業務目標を達成している人(達成率100%以上)では9割以上が重要だと感じているのに対し、業務目標を達成していない人(達成率50%以下)は53.1%と、業務目標を達成している人ほど、目標を達成している上で社内メンバーとの協調が重要だと感じているようです。
トピック② 顔と名前を覚えると好感度がアップ!?
挨拶される側の75.3%の人が、名前も一緒に呼んでもらうと嬉しいと感じる
次に、挨拶をされる際に名前を呼んでもらえると嬉しいと感じるかを質問したところ、75.3%の人が嬉しい(「とても嬉しい」「嬉しい」)と思うという結果となりました【図3】。
挨拶や声をかける際に名前を呼ぶことによって、名前を呼んだ相手から嬉しいと感じてもらえることから、顔と名前を覚えることが円滑なコミュニケーションをとる上で重要なカギとも言えそうです。
トピック①②の結果から、社内の人の顔と名前覚えることで、周囲の人とコミュニケーションがとりやすくなり、結果的に仕事が上手くいくことが推測できます。
トピック③ 社内の人の顔と名前を覚えている人はプライベートも充実し、モテる!?
パートナーがいる人の割合は、社内の人の顔と名前を「よく覚えている」人の方が「あまり覚えていない」人より22.3%高い
社内の人の顔と名前を「よく覚えている」人、「あまり覚えていない」人でプライベートの充実度に差があるのかを調べました。
まず、社内の人の顔と名前を「よく覚えている」人、「あまり覚えていない」人でパートナーがいる(「結婚している」、「恋人がいる」)割合を見ると、顔と名前を「よく覚えている」人が67.0%、「あまり覚えていない」人が52.0%で、「よく覚えている」人の方が2割以上高いことが分かりました【図4】。
次に、パートナーがいる人に、パートナーとコミュニケーションが上手くいっているかを質問すると、上手くいっている人(「とても上手くいっている」「上手くいっている」「まあまあ上手くいっている」)の割合は、名前を「よく覚えている」人の方が「あまり覚えていない」人と比べ、14.1%高いという結果となりました【図5】。また友人とのコミュニケーションが上手くいっている人の割合も、パートナーとの関係と同様に名前を「よく覚えている」人の方が高いことが分かります【図6】。
これらの結果から、社内の人の顔と名前を覚えている人は、私生活での対人関係も上手くいっており、仕事だけでなくプライベートの充実度も高いと言えそうです。
早稲田大学研究戦略センター教授(早大ビジネススクール兼担講師)。
1998年東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了、博士(薬学)。
2007年早稲田大学ビジネススクール修了、MBA(経営学修士)。
同年早大学スーパーテクノロジーオフィサー(STO)の初代認定を受ける。脳の神経ネットワークから人間の行動まで、マルチレベルな視点による研究を進めており、経営と脳科学のクロストークを基盤とした執筆や研修も行っている。著書に『「脳が若い人」と「脳が老ける人」の習慣』(明日香出版社)、『記憶のスイッチ、はいってますか』(技術評論社)、『タイプが分かればうまくいく!コミュニケーションスキル』(共著、総合法令出版)など。最近のメディア露出はNHK総合「視点・論点」、「記憶力UPゲーム シーホースパワー」、テレビ朝日「モーニングショー」、日本テレビ「スッキリ!!」、毎日放送「林先生が驚く 初耳学」、日本経済新聞 NIKKEI STYLE、日経WOMAN、プレジデント、anan 等
顔と名前を覚えている人が業務目標を達成しやすいことには、もともと情報処理能力が高いこともあるでしょう。顔と名前をパターンとして認識して、手際よく記憶情報を引き出すことができるという人は、多くの場面で複雑な情報を紐解き、処理することができるはずです。
また、「顔と名前を覚えていられた」という経験は、成功体験として自身の自己効力感を上げるように作用します。自己効力感の向上は、モチベーションを高め、難しい課題へ挑戦するように働くことが知られています。
一方、自分の顔と名前を覚えていてくれることを知ったときには、「自分の存在を認め、興味関心を向けてくれている」という感触に繋がることから、その相手には返礼の意味でも協力したい気持ちが湧き出るものです。
多くの仕事は一人では成し遂げられません。チームを組む・組まないに関わらず、周囲の人たちの協力なしでは前に進まない場面も多々あるものです。そのようなときに、周囲の人たちの協力を仰ぎやすいことで、与えられたハードルを越えて実績を積んでいくことも容易になっていくでしょう。
このようなコミュニケーションが成立している人は、信頼を集めやすく、親和性が高まりやすいことから、多くのチャンスを与えられるようになるかも知れません。
「顔と名前の一致」をコミュニケーションの入口にして、自身のモチベーションを高め、チャンスを掴み、成果を上げていくことも期待できそうです。
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