カオナビHRテクノロジー総研調査レポートREPORT

2022.06.06
調査

目標管理制度に意味はあるのか? 〜職場の目標管理(MBO)の実態調査<前編>〜

1990年代に多くの日本企業に導入されたMBO(目標管理:Management by Objectives)。従業員のモチベーション発揮と企業の利益拡大の両立が目的として、従業員自らが一定期間(年度・半期など)の目標を決め、その目標に基づいた業務遂行を促しますが、実態は「形骸化」しているという課題意識を持つ企業も多いのではないでしょうか。

今回は、効果的なMBO運用を実現するためのヒントを得るために、MBO運用の実態を調査いたしました。前編(本レポート)では、従業員が自身の設定した目標をどの程度「記憶」しているか、進捗を「確認」しているかに着目し、後編ではSMARTなどと呼ばれる目標の「内容」に着目をします。

サーベイの概要

  • サーベイ対象:事前調査で「自社で目標管理制度(MBO制度)が運用されている」と回答した20〜59歳までの会社員500名
  • サーベイ期間:2022年3〜4月
  • サーベイ内容:Web上で「目標管理制度」についての質問項目に、選択・記述式で回答
  • 結果の集計・分析:回答結果を集計し、差異や傾向を抽出(回答の構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはなりません。そのため、グラフ上に表示される構成比での計算結果は、実際の計算結果とずれが生じる場合があります)

 

調査結果1:MBOの実施率

まず、20〜59歳までの会社員8698人を対象とした事前調査のデータから、企業の目標管理の運用方法の実態を確認します(図1)。MBOを用いている企業は36.2%と、およそ3社に1社の割合でした。業界別では、情報通信業、金融・保険業では導入率が50%を超えていました。

一方で、そもそも「目標管理は行われていない」という回答も49.3%と多く、建設業、運輸・郵便業、教育業、医療・福祉業では60%を超えています。

調査結果2:MBOの目標設定頻度

ここからは、MBOを導入している企業で働く会社員500名を対象とした調査データを確認していきます。
まず、目標設定がどの程度の期間で実施されているかを尋ねたところ、「年度ごと(年に1回)」が最多で44.6%、続いて「半期ごと(年に2回)」(図2)が36.2%という結果でした。毎月目標設定を行う企業も7.6%と少数ですが見られました。

調査結果3:MBOで設定した目標を覚えている程度

続いて、MBOで設定した目標の「内容」を、どの程度覚えているかを尋ねました(図3)。「全く覚えていない」から「3〜4割」までを合計すると26.8%と、およそ4人に1人はMBOで設定した目標をあまり覚えていないことが伺えます。

従業員が目標を覚えている程度と、仕事のパフォーマンスにはどのような関係があるのでしょうか。回答者の直近の人事評価の高さとの関係を図4に示しました。目標をよく覚えているグループ(多群)では、上位40%以上の高い評価を得やすいという傾向が見られました。

あまり目標を覚えていないグループ(少群)と、半分程度覚えているグループ(中群)を比べると、評価の「高さ」にはほとんど違いが見られないのですが、下位40%以下といった評価の「低さ」に着目すると、あまり目標を覚えていないグループ(少群)の方が6pt低いという傾向が見られました。

調査結果4:MBOで設定した目標の内容・進捗の確認頻度

ここまでのデータから、MBOで設定した目標を覚えている程度は、パフォーマンスと関係がありそうだということが見えてきました。しかし、MBOで設定する目標の項目は多いことが多く、普通に過ごしていると「忘れていく」のが自然とも考えられます。

では、一度設定した目標の内容や進捗は、どの程度の頻度で自主的に確認されているのでしょうか(図5)。2週間に1度以上とこまめに確認している人が28%いる一方、「ほとんど確認しない」人も15.2%と、確認の頻度には大きなばらつきがあることがわかります。

こうした目標の確認頻度のばらつきは、その人が「マメな人だから」と説明されることが多いように思いますが、「仕組み」も大きく影響している可能性があります。本調査では、仕組みの要因の一つとして、MBOでの目標の達成状況と実際の人事評価との連動に着目しました。

まず、そもそも、MBOでの目標の達成状況がどのくらい人事評価に反映されているのかを確認します(図6)。MBOでの目標の達成状況が人事評価に「高反映」されている人は45%、「参考程度」に扱われ他の情報に基づく評価が大きい人は38%、全く「反映されない」人は17%という結果でした。

続いて、こうした反映度合いと、自主的な目標の内容・進捗の確認頻度との関係を見ていきます(図7)。その結果、MBOでの目標の達成状況が人事評価に「高反映」されているグループでは、他のグループと比べて自分の目標を「高頻度」に確認する人が多い傾向が示されました。従業員に自主的な目標確認を促す上で、目標の達成具合と評価の連動が重要であることがうかがえました。

まとめ

本レポートでは、MBOの設定した目標を従業員がどの程度「記憶」しているか、進捗を「確認」しているかに着目し、効果的なMBO運用のヒントを探索しました。

本調査のまとめ

  • 目標の内容をよく覚えている従業員は、最終的に高い人事評価を得ている傾向がある
  • しかし、4人に1人はMBOで設定した目標をあまり覚えていない
  • 設定した目標を自主的に確認する頻度は大きくばらついている
  • 達成具合と人事評価の連動が強い場合では自主的な目標の確認頻度が多く、連動が低い場合では自主的な目標の確認頻度が少ない傾向がある
  • 後編では、設定された目標の性質に着目した分析結果をご紹介いたします。

     
     

    【インターネットサーベイ調査概要】

    <実施詳細>

    • 配信:2022/3~2022/4
    • サンプル回収数:500サンプル
    • 配信・回収条件
      年齢:20歳以上60歳未満
      性別:男女
      配信地域:全国
      対象条件:有業者(自由業を除く)、「自社で目標管理制度(MBO制度)が運用されている」と回答した方

     

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