カオナビHRテクノロジー総研調査レポートREPORT

2025.07.10
調査

7割近くが認識する業務過多と精神的負荷~ミドルマネジメント層の危機的状況~

サーベイの背景

企業組織において、ミドルマネジメント層は経営層と現場をつなぐ重要な役割を担っています。しかし、組織の複雑化や業務・働き方の多様化により、ミドルマネジメント層が抱える課題も多く、その育成や支援が企業の成長にとって課題となっています。
本調査では、人事部門の視点からミドルマネジメント層の現状と課題を明らかにすることを目的としています。

サーベイの概要

今回は以下の要領にてインターネットを用いたサーベイを実施致しました

  • サーベイ対象:
    – 20歳以上66歳未満
    – 企業の人事・労務担当者1,000名(調査①②④対象)
    – 部下をもつ役員・部長・課長相当職171名(調査③対象)
  • サーベイ期間:2025年3月24日(月)~2025年3月26日(水)
  • サーベイ内容:Web上でミドルマネジメント層についての質問項目に、選択・記述式で回答
  • 結果の集計・分析:回答結果を集計し、差異や傾向を抽出(回答の構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはなりません。そのため、グラフ上に表示される構成比での計算結果は、実際の計算結果とずれが生じる場合があります)

■調査結果① 人事部門の7割以上が、ミドルマネジメント層の負担軽減を重視

Q.人事部門が取り組むべき課題として、「ミドルマネジメント層の負担軽減の重要性」はどの程度重要だと感じますか。

負担軽減の重要性については、「非常に重要である」が26.7%、「ある程度重要である」が47.5%で、計74.2%の人事部門が重要であると回答しました。

■調査結果② 人事部門の7割以上が、ミドルマネジメント層の育成・人材開発を重視

Q.人事部門が取り組むべき課題として、「ミドルマネジメント層の育成・人材開発」はどの程度重要だと感じますか。

人事部門に対する調査の結果、ミドルマネジメント層の育成・人材開発について、「非常に重要である」が29.5%、「ある程度重要である」が46.2%となり、合わせて75.7%の人事部門が重要性を認識していることが明らかになりました。
これらの結果から、多くの人事部門がミドルマネジメント層の負担軽減と育成の両面で課題意識を持っていることが分かります。

■調査結果③ ミドルマネジメント層の7割近くが「業務量の膨大さ」「精神的負荷の高さ」を認識

Q.  あなたが所属する会社・組織の管理職について、あなたのイメージはどの程度当てはまりますか。(部下がいる役員・部長・課長相当職に回答を限定)

    一方、ミドルマネジメント層が認識する課題について調査した結果、「精神的な負荷が高い」が72.5%と最多となりました。その次に「業務量が膨大だ」が68.6%という結果です。
    調査結果①で示したとおり、人事部門も7割以上が「負担軽減」を重要視しており、深刻な課題であることがわかります。
    また、最も選択率の低い「メンバーからの申請や承認の対応に追われている」でも6割を超えており、ミドルマネジメント層が多岐にわたる課題を抱えている実態が明らかになりました。

    ■調査結果④ 課題認識と支援実態のギャップが顕在化 – 3割超が「支援なし」と回答

    Q.ミドルマネジメント層に対し、人事部として行っている支援を回答してください。

      ミドルマネジメント層への具体的な支援策は、「研修の実施」が31.1%と最も多い一方で、34.2%が「特に支援は行っていない」と回答しました。調査結果①②で明らかになった高い課題意識(育成重視75.7%、負担軽減重視74.2%)や、調査結果③で浮き彫りになった現場での状況を考慮すると、課題認識の高さと実際の支援実行との間に大きな乖離が存在することを示しています。これは多くの人事部門が問題の重要性を十分に認識している一方で、具体的な支援策の実施には様々な制約や課題があることを示しているのかもしれません。

      まとめ

      今回の調査結果により、ミドルマネジメント層を取り巻く現状が明らかになりました。人事部門の7割以上が育成・人材開発(75.7%)と負担軽減(74.2%)を重要課題として認識しており、課題への意識の高さが伺えました。実際に現場では、7割近くが業務量の多さと精神的負荷を感じています。
      しかしながら、人事部門のミドルマネジメント層に対する支援実態を見ると、研修実施が31.1%で最も多いものの、34.2%が特に支援を行っていないという結果となりました。課題への認識と実際の取り組みの間にはまだ差があることが分かります。
      「業務量の多さ」や「精神的負荷の高さ」は、研修や情報共有、相互フィードバックの場の提供といった支援だけでは根本的な解決につながりにくいと感じます。これらの支援策は重要である一方で、業務量そのものの削減や精神的負担の直接的な軽減には限界があるのではないでしょうか。
      これらを解決する選択肢として、AIやタレントマネジメントシステムの活用も有効であると考えます。例えば、資料作成や会議の議事録作成、更には部下マネジメントに関する相談などにAIを活用することで、ミドルマネジメント層の事務作業負荷を軽減することが可能です。
      また、人材育成の面では、タレントマネジメントシステムを活用することで部下の能力や適性を把握し、具体的な育成計画の作成等を効率的に行うことができるのではないでしょうか。
      ミドルマネジメント層が抱えている現状の課題解決には、人材開発支援と業務環境改善の両方での対応が不可欠になると考えられます。

       

      【インターネットサーベイ調査概要】

      <実施詳細>

      • 配信:2025/3/24
      • サンプル回収数:1,000サンプル
      • 配信・回収条件
        年齢:20歳以上66歳未満
        性別:男女
        配信地域:全国
        対象条件:企業の人事・労務担当者、部下をもつ役員・部長・課長相当職

       

      <設問と回答選択肢(今回調査)>
      :以下の課題は、人事部門が取り組むべき課題としてどの程度重要だと感じますか。/ミドルマネジメント層の負担軽減
      選択肢:まったく重要でない/あまり重要でない/ある程度重要である/非常に重要である/わからない
       
      :以下の課題は、人事部門が取り組むべき課題としてどの程度重要だと感じますか。/ミドルマネジメント層の育成・人材開発
      選択肢:まったく重要でない/あまり重要でない/ある程度重要である/非常に重要である/わからない
       
      :あなたの所属する会社・組織のミドルマネジメント層について、以下の状況にどの程度当てはまりますか。
      ・プレイングマネージャー化している
      ・精神的な負荷が高い
      ・業務量が膨大だ
      ・メンバーからの申請や承認の対応に追われている
      ・業務マネジメント力に課題がある
      ・メンバーの働き方の多様化への対応に苦慮している人が多い
      ・経営層の方針や考えをメンバーに伝えることに苦慮している人が多い
      ・担当部署の人間関係の円滑化に苦慮している人が多い
      ・部署間のコミュニケーションに苦慮している人が多い
      ・担当部署のメンバーにルールを徹底させることに苦慮している人が多い
      選択肢:まったく当てはまらない/あまり当てはまらない/ある程度当てはまる/よく当てはまる/知らない・わからない
       
      :ミドルマネジメント層に対し、人事部として行っている支援を回答してください。
      選択肢:管理職昇格前あるいは昇格後の研修の実施/ミドルマネジメント同士の情報共有や相互フィードバックの場の提供/評価者研修の実施/360度評価あるいは360度フィードバックなどの上司以外からフィードバックを受ける機会/マネジメントについての伴走型の研修(3か月以上の期間を経るもの)/上司・人事などからのマネジメントについての個別の支援/管理職昇格前にマネジメント・リーダーシップ経験ができる機会の提供/外部の専門家によるアドバイス(コーチングなど)/1on1やOKR支援などのマネジメントITツールの活用/その他/特に支援は行っていない

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