カオナビHRテクノロジー総研調査レポートREPORT
6割超えが「法改正への対応」に苦労~労務手続きの電子化状況の実態~
サーベイの背景
年末調整や従業員の身上情報変更など、企業の労務手続きは労務管理システムを使用した電子化が進んでいるでしょうか。それとも従来通り紙面での提出や独自フォーマットでの対応が主流でしょうか。
近年のDX推進により、企業の労務管理業務の電子化は加速していると考えられます。HRテクノロジー総研では、この現状を把握するため、企業の人事・労務担当者を対象とした労務管理業務の電子化状況調査を実施しました。
サーベイの概要
今回は以下の要領にてインターネットを用いたサーベイを実施致しました
- サーベイ対象:20歳以上66歳未満の企業の人事・労務担当者1,000名
- サーベイ期間:2025年3月24日(月)~2025年3月26日(水)
- サーベイ内容:Web上で労務業務についての質問項目に、選択・記述式で回答
- 結果の集計・分析:回答結果を集計し、差異や傾向を抽出(回答の構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはなりません。そのため、グラフ上に表示される構成比での計算結果は、実際の計算結果とずれが生じる場合があります)
■調査結果① すべて電子化している労務手続トップは、「給与・賞与明細の従業員への配布」
人事労務担当者に労務手続きの電子化状況を調査したところ、最も電子化が進んでいるのは「給与・賞与明細の従業員への配布」(37.5%)、次いで、「源泉徴収票の従業員への配布」(37.1%)でした。すべて電子化されている割合は各項目で2~3割程度となり、部分的な電子化も含めると全項目で約6割が何らかの電子化を実施していることが分かりました。
■調査結果② 電子化を推進したい業務1位は「雇用契約書などの各種契約書・誓約書の締結」
また、「給与・賞与明細の従業員への配布」(20.1%)や「従業員へのお知らせや連絡」(10.6%)といった労務担当者から従業員への一方向的な情報伝達業務よりも、従業員との双方向のやりとりが必要な業務の方が、電子化ニーズが高いことが明らかになりました。
契約書の締結や年末調整などでは、従業員からの書類提出や確認作業が発生するため、電子化により業務の煩雑さや管理負担の軽減効果がより期待されるからでしょう。
■調査結果③ 労務担当者の6割超が「法改正についていくのが大変だ」と回答
まとめ
本調査により、企業の労務管理における電子化の現状が明らかになりました。給与明細や源泉徴収票の配布などの業務の完全電子化は、全体の3割強の企業にとどまりましたが、部分的な電子化を含めると約6割の企業が電子化に取り組んでいることが判明しました。電子化へのニーズに関しては、「雇用契約書などの各種契約書・誓約書の締結」が最も高い結果となりました。
また、労務担当者の6割超が「法改正への対応」に負担を感じており、さらに「紙資料の管理・保管」という物理的な管理業務の煩雑さにも直面していることが分かりました。これらの課題に対しては、法改正に応じた自動更新やアップデート機能を備えた労務管理システムの導入により、迅速かつ柔軟な対応が可能になると考えられます。
労務管理のDX化はこれから段階的に行われていくかと思いますが、企業規模や業界特性に応じた最適なDX推進を行い、従業員の利便性向上と業務効率化の両立を図ることが企業の成長にもつながるでしょう。
【インターネットサーベイ調査概要】
<実施詳細>
- 配信:2025/3/24
- サンプル回収数:1,000サンプル
- 配信・回収条件
年齢:20歳以上66歳未満
性別:男女
配信地域:全国
対象条件:企業の人事・労務担当者
<設問と回答選択肢(今回調査)>
問:あなたの所属する会社・組織では、労務に関する以下の業務をどのように行っていますか。
・従業員の身上情報の収集(従業員の氏名、住所、婚姻状況、家族構成等の情報の収集)
・マイナンバーの収集
・雇用契約書などの各種契約書・誓約書の締結
・社会保険の手続き
・年末調整(従業員からの情報・申告書・控除証明書等の収集)
・給与・賞与明細の従業員への配布
・源泉徴収票の従業員への配布
・従業員へのお知らせや連絡(全社あるいは部分的な一斉配信)
選択肢:すべて電子化されている/一部電子化されているが、紙やファイルのやりとりもある/すべて紙やファイルでやりとりしている/知らない・わからない
問:あなたの所属する会社・組織で、以下の労務業務のうち電子化を推進したい業務を上位3つまで回答してください。
選択肢:従業員の身上情報の収集(従業員の氏名、住所、婚姻状況、家族構成等の情報の収集)/マイナンバーの収集/雇用契約書などの各種契約書・誓約書の締結/社会保険の手続き/年末調整(従業員からの情報・申告書・控除証明書等の収集)/給与・賞与明細の従業員への配布/源泉徴収票の従業員への配布/従業員へのお知らせや連絡(全社あるいは部分的な一斉配信)/その他/電子化を推進したい労務業務は特にない
問:労務業務に関して、以下はどの程度当てはまりますか。
・郵送した書類が従業員から返ってこず処理や必要な手続きが遅れている
・提出される書類確認や記入間違いの修正対応に追われている
・書類の準備や受取のために出社しなければならない
・膨大な紙資料の管理・保管が大変だ
・紙の印刷費・郵送費が高い
・業務が属人化していて担当者の離職に備えられていない
・法改正についていくのが大変だ
・労務関連の手続きについての社内から問い合わせ対応が大変だ
選択肢:まったく当てはまらない/あまり当てはまらない/ある程度当てはまる/よく当てはまる/知らない・わからない
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