カオナビHRテクノロジー総研調査レポートREPORT
スキル管理への課題認識とDX関連スキルの体系化の実態 ~人事・労務担当者への調査でみえた現状~
サーベイの背景
昨今のデジタル化の加速により、企業に求められるスキルは変化し続けています。このような環境下で、従業員一人ひとりが持つスキルを適切に把握・管理することは、組織の競争力向上や人材の最適配置において重要な経営課題となっています。 近年、タレントマネジメントシステムの導入企業が増加する中、スキル管理への注目も高まっていますが、実際の取り組み状況や課題については十分に把握されていないのが現状です。そこで本調査では、企業の人事・労務担当者を対象に、スキル管理の現状と課題について調査を実施しました。
サーベイの概要
今回は以下の要領にてインターネットを用いたサーベイを実施致しました
- サーベイ対象:20歳以上66歳未満の企業の人事・労務担当者1,000名
- サーベイ期間:2025年3月24日(月)~2025年3月26日(水)
- サーベイ内容:Web上でスキル管理についての質問項目に、選択・記述式で回答
- 結果の集計・分析:回答結果を集計し、差異や傾向を抽出(回答の構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはなりません。そのため、グラフ上に表示される構成比での計算結果は、実際の計算結果とずれが生じる場合があります)
調査結果① スキル管理の重要性―タレントマネジメントシステムの導入(検討時含む)目的では第4位
N=410(タレントマネジメントシステム:導入済み/検討中/導入経験ありの方)
図1は、タレントマネジメントシステムの導入および導入検討時の目的を示しています。導入の主な目的として、人事業務の効率化や人材情報の一元化・可視化が上位を占める一方で、スキル管理も4位にランクインしています。このことから、企業や人事担当者がスキル管理を重要視していることが読みとれます。
では実際のスキル管理の取り組みはどの程度進んでいるのでしょうか。まず、スキルを可視化するための基礎となるスキルマップの整備状況をみてみます。
調査結果② スキルマップが存在していると回答した人事担当者は約5割
スキルマップ=従業員が業務を遂行するにあたって必要なスキルを持っているかどうかを可視化するツール
調査結果③ スキル体系の整備に課題認識がある人事担当者は6割
この課題認識を受けて、具体的にどのようなスキル領域が注目されているのかを調査しました。図4は、リスキリングとして取り組んでいる・取り組み予定・検討中のスキルを示したものです。上位には「DXスキル」「ITリテラシー」が挙がっており、DX・IT関連のスキルへの関心の高さが伺えます。これらのスキルについて、実際の体系化の状況はどうなっているのでしょうか。
N=510(所属する会社・組織でのスキリングの取り組み状況:取り組み予定/準備段階/検討中の方)
調査結果④ DX関連のスキルにおいて「体系化・定義されている」は5割超
では、体系化はどのように進められたのか調査結果⑤に示しました。
調査結果⑤ スキルの体系化は「社内で体系化した」が最多で5割超
まとめ
本調査により、企業のスキル管理における現状と課題が明らかになりました。 スキル管理の重要性は高い一方で、スキル管理の手法の一つでもあるスキルマップの作成状況は「作成されている」「作成されていない・知らない/わからない」がおおよそ半々の結果となりました。スキル管理が進んでいる企業とそうでない企業で分かれているようです。 さらに、人事担当者の6割はスキル管理に課題を感じており、取り組みの難しさが伺えます。しかし、DX関連スキルについては5割超の人事担当者が、「体系化・定義されている」と回答しており、注目度の高い分野では積極的な取り組みが見られます。DX関連のスキルのみならず、企業にとって必要なスキルの体系化が進むことで、より効果的な人材配置や育成計画の策定が可能になり、組織全体の競争力向上につながることが期待されます。
【インターネットサーベイ調査概要】
<実施詳細>
- 配信:2025/3/24
- サンプル回収数:1,000サンプル
- 配信・回収条件
年齢:20歳以上66歳未満
性別:男女
配信地域:全国
対象条件:企業の人事・労務担当者
<設問と回答選択肢(今回調査)>
問:「タレントマネジメントシステム」の導入時もしくは導入検討時の導入目的を、知っている限り回答してください。(MA)
選択肢:人材情報の一元化や可視化/人事業務の効率化/経営の意思決定支援/評価運用の効率化/人事評価の適正化や精度向上/採用のミスマッチの改善/ハイパフォーマーもしくはローパフォーマー分析/配置・異動業務の効率化/配置・異動の適正化や精度向上/スキルや能力の管理/適切な人材育成コンテンツの提供/離職防止やエンゲージメント・モチベーション管理/その他
問:あなたの所属する会社・組織の以下の項目に対し、人事部員としてどの程度課題認識を持っていますか。/職務・役割に応じた必要な知識・スキル体系の整備(SA)
選択肢:まったく課題認識を持っていない/あまり課題認識を持っていない/ある程度課題認識を持っている/強い課題認識を持っている/わからない
問:あなたが所属する会社・組織のスキルマップの作成状況を教えてください。(SA)
選択肢:人事主導で作成されたスキルマップがあると認識している/人事主導で作成されてはいないが、社内で作成されたスキルマップがあると認識している/スキルマップは存在しないと認識している/知らない・わからない
問:あなたが所属する会社・組織ではデジタル・DX・IT関連のスキルについて、習得すべきスキルが体系化されていますか。(SA)
選択肢:習得すべきスキルが網羅的に体系化され、習熟度など段階ごとに必要なことが定義されている/人習得すべきスキルの一部は体系化され、習熟度など段階ごとに必要なことが定義されている/習得すべきスキルは定義されているが、習熟度など段階ごとに必要なことは定義されていない/特に体系化されていない/知らない・わからない
問:デジタル・DX・IT関連のスキルの体系化はどのように進められましたか。複数当てはまる場合は、すべて回答してください。(MA)
選択肢:社内での議論や調査によって、社内で一から体系化された/社外のスキル標準を使いながら、社内の人間が体系化した/コンサルなど外部人材を活用し、体系化した/その他/知らない・わからない
問:「リスキリング」として取り組んでいる、あるいは取組み予定・検討中のスキルはどれですか。(MA)
選択肢:ITリテラシー(ITについての理解力)/DXスキル(ITで業務を構築・改善するスキル)/AI活用/事業構造改革に伴い強化が必要になったスキル/語学(英語など)/統計・データ分析/マーケティング/人材マネジメントやコーチング/業務マネジメント/営業に関連するスキル/コーポレートに関連するスキル/その他/知らない・わからない
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