カオナビHRテクノロジー総研調査レポートREPORT
直近1年間の中途採用実態:企業規模によって異なる「重視する人材要素」

サーベイの背景
中途採用は企業にとって重要な人材確保の手段であり、その手法や基準は多様化しています。なかでも、入社後すぐに活躍できる「即戦力」としてのスキルを重視する傾向が高まっている一方、採用後のミスマッチを防ぐには、スキルだけでなく自社の環境や文化に合った多角的な人材要件を見極めることも重要な課題です。では、企業はどのような要素を重視して採用活動を行っているのでしょうか。
カオナビHRテクノロジー総研では、こうした中途採用活動の実態を明らかにするべく、広範な調査を実施いたしました。今回のレポートでは、直近1年間の中途採用活動における採用人数や採用関連費といったデータをはじめ、どのような人材要素を重視したかについてご紹介します。
サーベイの概要
今回は以下の要領にてインターネットを用いたサーベイを実施いたしました
- サーベイ対象:直近1年間において1名以上の中途採用を行った企業に在籍する、25歳以上60歳未満の中途採用担当者300名
- サーベイ期間:2026年3月12日(木)~2026年3月13日(金)
- サーベイ内容:Web上で直近1年間の中途採用についての質問項目に、選択・記述式で回答
- 結果の集計・分析:回答結果を集計し、差異や傾向を抽出(回答の構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはなりません。そのため、グラフ上に表示される構成比での計算結果は、実際の計算結果とずれが生じる場合があります)
サマリ
- 調査結果① 直近1年間の中途採用人数は「1~10名」が全体の約5割占め、採用関連費総額では「500万円未満」が全体の4割超
- 調査結果② 中途採用は“3大手法”に集中 求人紹介・自社サイト・人材紹介が過半数を占めるも、大企業は独自チャネル開拓へ
- 調査結果③ 大企業は「スキル」重視、中小企業は「定着」に加え「成長意欲」「柔軟性」も重視する傾向
調査結果① 直近1年間の中途採用人数は「1~10名」が全体の約5割占め、採用関連費総額では「500万円未満」が全体の4割超
まず、図1に直近1年間での中途採用人数を示します。
※今回の調査では直近1年以内の中途採用において、「1名以上採用した」と回答した人をベースにしています
全体的な結果として、採用人数は「1~10名」が約5割、「11~50名」が約3割、「51~100名」と「101名以上」がそれぞれ約1割となっています。企業規模別に見ると、以下の傾向が確認されました。
中小規模(499人以下)では、6割以上が「1~10名」の採用に留まっており、小規模な採用が中心です。一方、中堅規模(500~999人)になると「11~50名」の採用が6割弱に達し、組織拡大を見据えた積極的な採用姿勢が鮮明になります。さらに、大規模(1,000人以上)では「101人以上」の採用が確認でき、採用活動の規模が飛躍的に大きくなる傾向です。
次に、図2に直近1年間での採用関連費総額を示しました。
※選択肢「わからない」と回答した人はグラフ上には含めていません
全体的な結果として、採用関連費の総額は「500万円未満」が約45.2%、「500~1,000万円未満」が22.2%、「1,000~2,000万円未満」が8.0%、「3,000万以上」が8.8%でした。
企業規模別にみると、1~99人規模では8割以上が「500万円未満」に留まる一方、5,000人以上規模では「3,000万円以上」が約3割超(35.3%)となり、規模による採用コストの差が顕著に表れています。
ここまでで直近1年間での中途採用人数と採用関連費総額を紹介しました。
続いては、中途採用者をどのように獲得しているのか、「採用手法」に焦点を当てて見ていきたいと思います。
調査結果② 中途採用は“3大手法”に集中 求人紹介・自社サイト・人材紹介が過半数を占めるも、大企業は独自チャネル開拓へ
図3に、直近1年間の中途採用で利用した採用手法を示しました。
直近1年間の採用手法を全体で見ると、「求人紹介」「自社サイト・ハローワーク」「人材紹介」の3項目がいずれも過半数を超えて突出しており、これらが企業の採用活動における主要な柱になっていることが分かります。
一方で、4位以下の項目「ダイレクト・リクルーティング」「リファラル採用」では利用率が大きく下がっており、「その他」を除けば、「アルムナイの再雇用」が最も低い結果となりました。上位3手法以外の利用はまだ普及の途上段階といえそうです。
企業規模別に見ると、1~99人規模では「求人紹介」や「自社サイト・ハローワーク」が中心で、コストや工数がかかるダイレクト・リクルーティングやアルムナイ採用の導入は限定的です。
対照的に、5,000人以上規模ではリファラルやアルムナイといった自社ネットワークを活用した採用手法が他の規模と比較して圧倒的に高いです。大規模企業ならではの豊富なリソースにより、様々なチャネルから人材を確保しようとしている様子がうかがえます。
以上、採用人数・採用関連費総額・採用手法と、中途採用活動における規模と手法を見てきました。
次に注目するのは”質”の側面です。直近1年間の中途採用において、どのような人材要素を重視していたのかを見ていきます。
調査結果③ 大企業は「スキル」重視、中小企業は「定着」に加え「成長意欲」「柔軟性」も重視する傾向
図4に、直近1年間の中途採用において重視した人材要素を示しました。
重視する人材要素のトップ3は、「専門スキル」「定着意欲」「問題解決力」の順となりました。
中でも1位の「専門スキル」が他の要素と比べて高く、採用担当者の多くが入社後すぐに業務に貢献できる「即戦力」を重視していることがわかります。
また、3位〜5位には「問題解決力」「ポテンシャル・成長意欲」「汎用的なビジネススキル」が続いており、現時点の実力だけでなく、将来の活躍を期待させる「潜在的な能力」も重視していることがうかがえます。
こうした能力面の項目が多く並ぶ中で2位に「定着意欲」がランクインしており、自社で長く活躍してくれるかといった定着性も重視している様子がうかがえます。一方、「異業界・異職種での経験」はわずか8.3%と最も低い結果となりました。
従業員規模別では以下が確認できます。
大規模企業(1,000人以上)
「専門スキル」を重視する割合は1,000~4,999人規模で56.9%に達し、全体を大きく上回ります。
また、「マネジメント・リーダーシップ経験」も30%前後と全体と比較して高く、専門人材であると同時に“組織を牽引できる人物像”を求めている傾向が読み取れます。反対に「定着意欲」や「ポテンシャル・成長意欲」「変化への適応力・柔軟性」「自走力」は低い傾向です。
企業規模が大きくなるほど業務は専門化・細分化されており、即戦力となる高度なスキルを持つ人材へのニーズが高まると考えます。加えて、大人数のチームや複数部門を統率できるマネジメント能力も重視されると考え、「専門性×リーダーシップ」を兼ね備えた人材像が求められていると言えそうです。
一方、「定着意欲」や「ポテンシャル・成長意欲」「変化への適応力・柔軟性」「自走力」などが低い背景には、充実した研修制度やキャリアパスといった組織的な育成環境が整っていることから、採用段階でこれらを重点的に見極める必要性が低いのかもしれません。
中小企業(999人以下)
大規模企業と比較して、中小企業では「定着意欲」や「ポテンシャル・成長意欲」「変化への適応力・柔軟性」といった項目が全体を上回る傾向にあります。大企業が即戦力となる「専門スキル」を中心に重視するのと相対的に比較して、中小企業ではスキル面に加え、変化への適応力や柔軟性、将来性もより重視する傾向が鮮明になっています。特に1~99人規模では、「専門スキル」をおさえ、「定着意欲」が1位となっています。一人ひとりが組織運営の重要な基盤となる規模感ゆえに、スキル以上に「長く貢献し続けてくれるか」という持続性が重視される要素となっているようです。
また、小規模な組織では組織の成長に伴い部門の新設や細分化が進み、一人一人の業務範囲が固定されず「兼務」が発生しやすい環境になっていくケースも考えられます。そのため、特定の専門スキルと同等またはそれ以上に、状況の変化に柔軟に対応し、自社の文化に馴染んで並走し続けられる人物かどうかという適合性の見極めも、重要な判断軸になっていると考えられそうです。
まとめ
今回の調査結果を総括すると、企業規模が大きくなるにつれて採用人数・関連費ともに増大しており、特に大企業では3,000万円以上の投資を行う層も一定数存在し、中途採用が経営における大きな投資になっていることが分かります。こうした中途採用の規模が明らかになった一方で、求める人材の「質」に関しては、従業員規模によって重視するポイントがわかれました。
全体としては「専門スキル」が大きく重視される傾向で、特に1,000人以上の大企業ではその傾向が顕著です。さらに、「マネジメント・リーダーシップ経験」や「問題解決能力」も求める傾向です。
対して999人以下の中小企業においては、スキルを前提としつつも「ポテンシャル・成長意欲」や「定着意欲」、「文化への適合性」といった要素が全体を上回る傾向でした。専門スキルと同等、あるいはそれ以上に、周囲と連携しながら柔軟に役割を広げられる「適応力」や「持続性」が、事業の成長を左右する重要な鍵となっていると考えられます。
「異業界・異職種での経験」への関心が限定的である点は共通していますが、それ以外の要素については、組織規模によって重視する点が異なることが見えてきました。中途採用において「これが正解」という型はなく、自社の現状やフェーズによって求めるべき人材像は変わってきます。
今の自社に必要な人材要素は何かを正確に捉え、それに基づいた採用基準を設計すること。そうした採用戦略の精度を高めることが、ミスマッチの少ない・長く活躍できる人材獲得への近道になると考えます。
【インターネットサーベイ調査概要】
<実施詳細>
- 配信:2026/3/12
- サンプル回収数:300サンプル
- 配信・回収条件
年齢:25歳以上60歳未満
性別:男女
配信地域:全国
対象条件:直近1年間において1名以上の中途採用を行った企業に在籍する、中途採用担当者名
<設問と回答選択肢(今回調査)>
問:直近1年間、会社全体で採用した中途採用の人数は何名ですか。(SA)
選択肢:0名(採用なし)/1~5名/6~10名/11名~20名/21名~50名/51名~100名/101~300名/301名以上
問:中途採用における、直近1年間の求人媒体/エージェント/イベント出展など「採用関連費」の総額はいくら程度ですか?(SA)
選択肢:500万円未満/500万円~1,000万円未満/1,000万円~2,000万円未満/2,000万円~3,000万円未満/3,000万円以上/わからない
問:直近1年間において利用した採用手法はありますか。(MA)
選択肢:求人紹介(媒体)/人材紹介(エージェント)/自社サイト・ハローワーク(直接応募)/リファラル採用/ダイレクト・リクルーティング(スカウト)/SNSを活用した採用広報(採用ブランディング)/アルムナイ(退職者)の再雇用/その他
※「SNSを活用した採用広報・採用ブランディング」は採用手法ではなく採用広報活動に該当するため、グラフには含めていません。なお、選択肢としては設けており、全体では54名が選択しています。
問:直近1年間の中途採用人材について、重視した要素は何ですか。(MA)
選択肢:専門スキル(DX、エンジニア、法務、マーケ等)/問題への解決能力(正解がない課題への対応力)/マネジメント・リーダーシップ経験(組織を牽引する力)/汎用的なビジネススキル(論理的思考、交渉力、資料作成等)/異業界・異職種での経験(新しい視点の持ち込み)/その他/企業文化への適合性(カルチャーフィット)/変化への適応力・柔軟性(アジリティ/マインドセット)/自走力(指示を待たずに自分で動く姿勢)/ポテンシャル・成長意欲(若手層の伸びしろ)/長く働き続けたいという定着意欲/その他
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