カオナビHRテクノロジー総研調査レポートREPORT

2017.03.16
イベント

カオナビ Management Camp 2016 ⑤:人材抜擢のキモはフィードバックにあり。成長を促すフィードバックのコツとは?

12月8日、株式会社カオナビが主催した「カオナビ Management Camp 2016」にて行われたトークセッション「抜擢人事の仕掛けとは」。ここまで3週にわたってお送りしてきたサイバーエージェント(以下、CA)・曽山氏、日本ラグビーフットボール協会・中竹氏、日清食品ホールディングス・橋本氏のスピーチに引き続き、クロストークの模様をお届けします。前編に続き後編となる今回はビジネス・スポーツ界の第一線で活躍するお三方に、抜擢人材を育成していくための方法について「活躍できる場」の提供と最適なフィードバックという2つの視点からたっぷり議論しました!

 

スピーカー

株式会社サイバーエージェント 取締役 曽山哲人
株式会社TEAMBOX 代表取締役 /(公財)日本ラグビーフットボール協会
コーチングディレクター 中竹竜二
日清食品ホールディングス株式会社 人事部 人材開発室 課長 橋本晃

 

モデレーター
元リンクアンドモチベーション 取締役 /
株式会社JAM 代表取締役社長 水谷健彦

抜擢人材にいかに“場”を提供できるか

水谷健彦氏(以下、水谷):人材の「発掘」から「育成」に話が移って来ていますので、このあとは「育成」についてお話しいただけたらと思います。

 

 

この割合のなかで、当然ながら「仕事の経験からの学び」という“70”の部分が大きいですので、この70をいかに充実させるかがすごく大事なわけですよね。ここにどんな工夫や取組みをしているのかをお聞きしたいと思います。ぜひ、橋本さんから。

 

 

橋本晃氏(以下、橋本):例えば、3年目以降のところで海外トレーニーやマーケトレーニーがあります。つまり応募時点では2年目ですね。入社2年目の人間が、「海外に行かせてください」と自ら手を挙げてチャレンジをしてもらう制度です。

また、社内公募制度として「ブランドマネージャー公募」というものもあります。公募制度自体は世間的にも一般的なことかもしれませんが、弊社においてはマーケティング部門は大変重要な部門です。ブランドマネージャーはP/L責任を負いますので、非常に重責なのですが、ポジションを用意して社内から応募を募るということもしています。

「ジョブアサインメントの機会をいかに増やすか」ということが、人材育成の法則における“70”の部分を担保するところにつながってくるかなという気はしています。

 

日清食品ホールディングス株式会社 人事部 人材開発室 課長 橋本晃 氏

 

水谷:新しい方がブランドマネージャーになるということは、外れる方がいるわけですけれど、その方はどんなポジションに就いていくんですか?

橋本:社内で別の重要なポジションに移るなど、他のポジションで活躍する道を検討していくことになります。

水谷:どういうポジションに就くことが多いですか?

橋本:セールス部門において重要な役職に就くこともありますし、海外展開を進めていますので、海外のマーケティングディレクターや現地法人のディレクターというポジションに就くケースも多いですね。規模の大小はあるにせよ、30代前半から半ばで、海外現地法人のディレクターになって、ナショナルスタッフを率いている従業員もたくさんいます。

水谷:そのあとにブランドマネージャーに戻ってくる人もいるんですか?

橋本:もちろんです。

水谷:そのあたり、CA8と近いですよね。

曽山哲人氏(以下、曽山):そうですね。

水谷:曽山さん自身も1回取締役から執行役員になり、また取締役に戻ってこられましたよね。

「もっとリスクを取れ!」CA藤田社長からのフィードバック

水谷:社内の反応や曽山さん自身の心境はどんな感じですか?

 

株式会社サイバーエージェント 取締役 曽山哲人 氏

 

 曽山: 取締役を退任する際、社長の藤田とのマンツーマン面談で、「6年間取締役をやってくれて、人事もすごくよくなった。あえて1個だけ注文しておくと、もっとリスク取ったほうがいいよ」って言われたんですよ。「人事なのにリスク取ったほうがいいんですか?」って言ったら、「いやいや、絶対取ったほうがいい」って(笑)。

水谷:(笑)。

曽山:「(もう役員として)俺のところに報告するのはいらないから、どんどんやっちゃって」と言われてすごく嬉しかったんですよね。

だから、実は役員を6年やっていた時より、その後の執行役員としての2年間のほうが、僕はずっと成長したという感覚があります。

具体的には「人材覚醒会議」という人材抜擢の仕組みを作りました。これは、今の活躍している若手から事業責任者まで50人から70人ぐらいの顔写真付きリストを、カオナビを使って作成し、半年に1回役員8人が集まる場で2時間だけ時間をもらって、リストをもとに人事について徹底的に議論するという場です。

「今からお見せする50人についてみなさんの意見を聞かせてください」と伝えて、「彼は今活躍しているけど、他に配置したらもっと伸びるんじゃないか」という提案をします。そしたら2ヶ月後にだいたい5〜6人ぐらいの異動が決まるんですよ。

そこで「この部署だともったいないね」という共通意識ができるんですね。経営陣は、社員1人についての話をすると全社の資産としてその1人を考えるんです。こういったチャレンジが、藤田社長のフィードバックによって生まれました。

「俺のほうがお前より時間かけて考えた」中竹氏の殺し文句

水谷:今のお話、ラグビー界の視点ではいかがですか?

 

株式会社TEAMBOX 代表取締役/(公財)日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクター 中竹竜二 氏

 

 中竹竜二氏(以下、中竹):私自身は、U20とか日本代表の、自分がヘッドコーチやった時は、全国に散らばっている1人ひとりの顔を把握するためにカオナビさんを使わせていただきました。

代表チームで起こりがちなのはポジション変更です。面談をすると、選手たちも慣れ親しんだポジションのほうがいいわけですよ。だから「そこで勝負したい」って言うわけです。「同世代を見ても自分が勝っていると思う」と。

だから面談では「だけど、俺たちが勝とうとしているのは世界だから」と伝えますが、無理やりは決められないんですよね。だから最後は決め文句として、「よくわかるけど、お前のポジション変更について、俺とお前、どっちが考え抜いたか。絶対、俺のほうがお前より時間かけて考えたから」と言います。その上で最後は自分で決めろ、と。

水谷:そう伝えると、だいたい何割ぐらいのイエス比率ですか?

中竹:経験値では、9割〜10割はいきます。

水谷:ほぼ全員「イエス」ということですね。

中竹:そうですね。それを言い渡す時にはこっちにも覚悟がいるので。

曽山:そうですよね。

中竹:やっぱり選手の可能性を広げてあげることが一番大事なことだと思いますね。

曽山:異動時に期待をかけるということがすごく大事ですよね。今の部署が合っていないから、こっちの部署に異動してもらったほうがいい、という異動も実際はあるわけですよ。

本人は本意じゃないかもしれないですけど、「この部署は本当にいい部署で、絶対お前に合ってるから」ということを、やはり考え抜いた上で伝えるということがすごく大事ですよね。

一番いいフィードバックは「率直に言うこと」

水谷: 曽山さんが藤田社長からもらった「もっと挑戦をしてリスク取ったほうがいいよ」というフィードバック。中竹さんの「いろいろ考えた結果、君、ポジションチェンジしたほうがいいと思うよ」というフィードバック。

フィードバックのクオリティを高めることによって、抜擢人材は育つんだなということを今日実感しましたけれど、その部分はどういう風に行うと担保されるのか。こんなことを最後のテーマにしたいです。曽山さんいかがですか?

 

元リンクアンドモチベーション 取締役/株式会社JAM 代表取締役社長 水谷健彦 氏

曽山:一番いいフィードバックは「率直に言うこと」。これをやってないリーダーがとても多いんですよ。例えば、マンツーマンで行う月1面談で、「何かあったら率直に言え」と伝えています。そして、それは「1個だけにしろ」と。

そうすると、率直に言ってくれたことに対して相手も「頑張ろう」と思ってくれます。「率直に伝えること」がフィードバックの一番大事なポイントですね。

水谷:抜擢してるから基本は任せたいじゃない、細かいことを言いたくないじゃないですか。でも、フィードバックしなきゃいけない局面があると思うんですよね。

曽山:そうですね。例えば1年目の社員を抜擢して子会社の社長を任せても、基本的に最初はうまくいかない。経験がないし、できるわけがないので。だから「違う」んだったら「違う」と言ってあげないと。間違えた方向に行って、彼自身の道を誤らせてしまうのは、上司である自分の責任でもあると思っています。

ただ、さっきの中竹さんのお話ではありませんが、最終意思決定は必ず本人にさせるということは意識しています。だから困っていることの相談には乗るんですけど、「結局、お前どうしたいの?」とを言うようにはしていますね。

人格と問題は明確に区別してフィードバックする

水谷:橋本さんはいかがですか?

橋本:同じだと思いますね。「人格と問題を切り分けて伝えてください」という話を社内でもよくしています。問題は問題として厳しく指摘しよう、と。別にそれは、部下の人格を否定することにはならない。人格と問題は分けてフィードバックしてくださいという話をよくしていますね。

相手の「好き嫌い」に注目してフィードバックを行う

水谷:ではこの話題を中竹さんにクロージングしていただこうと思います。

 

 

中竹:「問いかけ」と「観察」が大事です。フィードバックと言いながらも、まず向こうになにを話させるか。そして、フォーカスするのは相手の「好き嫌い」の部分です。

多くの人は「正しい・正しくない」を言いたがるんですけど、実はこれを面談やフィードバックで聞いても意味がないんですね。どのプレイが好きで、どの仕事が好きで、どの仕事に喜びを感じ、どれにやりがいを感じるか。これをちゃんと聞かないといけないんです。

同時に、彼らの「好き・嫌い」をちゃんと見てないといけない。先ほどお話したポジション変更する時には、どのプレイが本当に好きなのか、走るのが好きなのか、蹴るのが好きなのか、パスするのが好きなのか、本人すら自覚していない「好き嫌い」を問います。最初は答えられないんですけど、ずっと聞いていると答えるようになります。

水谷:ありがとうございます。もうこの話題を続けたら夜が明けそうなぐらいいけそうですけど。

曽山:間違いないですね(笑)。

水谷:残念ながら時間がまいりました。まず、抜擢人材の発掘から始めまして、育成の話に。育成については、「場をどう提供するか」ということと「フィードバックが大切だ」という話。このあたりが今回のセッションの大きなテーマとなりましたが、なかなかいい時間をお届けできたかと思います。では、これで終了にしたいと思います。どうもありがとうございました。

曽山・中竹・橋本:ありがとうございました。

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