カオナビHRテクノロジー総研調査レポートREPORT
職場の飲み会の理想頻度は「全くない」が4割以上。今、求められている飲み会とは
サーベイの背景
職場の飲み会に対する意識は人それぞれで、頻度が多すぎると感じる方、もっと交流の機会が欲しい方、誘われることを歓迎する方、あるいは誘うことに積極的な方まで、実に多様です。HRテクノロジー総研ではこの実態を明らかにするため、現在の飲み会頻度の実情や、参加を決断する際の重要なポイントについて調査を実施しました。本レポートでは、現代の働く人々にとって「飲み会」がどのような位置づけにあるのか、様々な角度から分析し、その本質に迫ります。
サーベイの概要
今回は以下の要領にてインターネットを用いたサーベイを実施致しました
- サーベイ対象:20歳以上66歳未満の自由業を除く有業者1,000名
- サーベイ期間:2025年3月24日(月)~2025年3月26日(水)
- サーベイ内容:Web上で飲み会についての質問項目に、選択・記述式で回答
- 結果の集計・分析:回答結果を集計し、差異や傾向を抽出(回答の構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはなりません。そのため、グラフ上に表示される構成比での計算結果は、実際の計算結果とずれが生じる場合があります)
■調査結果① 飲み会は「全くない」のが理想と回答したのは全体の4割強
図1は、現在の職場での飲み会の頻度と、理想とする頻度を比較したものです。約4割強が「全くないのが理想」と回答しました。上記だけでなく現状と理想のギャップについても気になるところです。そこで、飲み会の現在の頻度と理想の頻度を掛け合わせたクロス表を作成しました。
各行の数値は、表側の頻度で現在飲み会に参加している人たちが、理想としてどの頻度を望んでいるかの割合を表しています。現状の頻度を「高頻度層」「低頻度層」「中頻度層」に区分し、それぞれの傾向を以下にまとめました。
高頻度層(月に数回以上)
- 「週1回以上」:68%が現状維持を希望、32%が現状より少ない頻度を希望
- 「月に数回」:70%が現頻度以上を希望、30%が現状より少ない頻度を希望
高頻度層では現状の頻度以上を希望する人が60%以上と高いことがわかります。また、頻度を大幅に下げたいという意向は少ない傾向にあります。飲み会への抵抗感は少なく、積極性が感じられます。
低頻度層(年1回程度または特別な機会のみ~全くない)
- 「年1回程度または特別な機会のみ」:91%が現状維持もしくは「全くない」を希望、9%が現状より多い頻度を希望
- 「全くない」:91%が現状維持を希望、増加希望の割合はわずか9%
低頻度層では現状維持もしくは現状より少ない頻度を希望している人が90%以上にものぼります。少ない頻度を適切と考えているか、もしくは飲み会自体への関心が低いのでしょうか。年1回程度や特別な機会に限定された飲み会は、目的が明確で参加意義を感じられ丁度よいのかもしれません。
中頻度層(月に1回~半年に1回)
- 「月に1回」:69%が現頻度以上を希望、31%が現状より少ない頻度を希望
- 「2~3ヶ月に1回」:55%が現頻度以上を希望、45%が現状より少ない頻度を希望
- 「半年に1回」:57%が現頻度以上を希望、43%が現状より少ない頻度を希望
高頻度層・低頻度層と比較すると、中頻度層は現状より少ない頻度を理想としている人が多い傾向です。特に「2~3ヶ月に1回」と「半年に1回」は、現状よりも頻度を下げたい人の割合が4割以上です。定期的に開催される飲み会に対してとりあえず参加しているが、本音はより少ない頻度を理想としている人が多いのかもしれません。
現状と理想の頻度だけでなく、飲み会に誘われること自体、どう捉えられているのかも見ていきたいと思います。
■調査結果② 上司・同僚・部下からの飲み会に「誘われたい」はいずれも20%以下
※それぞれ該当する人がいない場合は、いたと仮定して回答
図2に、職場の上下関係別に飲み会に誘われたいか・誘われたくないかを示しました。
- • 「誘われたい」と回答した人は全ての項目において20%以下と少数
- ◦ 特に「上司からの誘い」は11.2%と一番低い結果
- ◦ 「同僚」から誘われたい人も20.4%と低く、意外な結果
飲み会への誘いには消極的な姿勢がとられていることが分かりました。上司だけでなく、あらゆる立場の方が飲み会に誘う際には、慎重なアプローチを心がけることが求められそうです。
では、実際にどのような条件で飲み会への参加を決めているのでしょうか。飲み会に「誘われたいかどうか」という感情的な部分だけでなく、飲み会への参加可否を決めるうえで、重視する要素を見ていきたいと思います。
■調査結果③ 飲み会参加可否で最も重視するのは「メンバー」
図3に、飲み会に参加するかしないかの判断において、決め手となるポイントを示しました。最も多かったのは「メンバー」の38.2%で、「誰と」飲むかが重視されています。次いで「開催理由」で29.5%でした。これにより「誰と行くか」と「なぜ行うのか」が特に重視されていることが分かりました。一方で、全体の27%が条件に関わらず「参加しない」という姿勢を示しており、一定数は飲み会そのものに対して消極的な立場をとっていることが明らかになりました。
最後に飲み会が業務に与える影響について、触れたいと思います。
■調査結果④ 飲み会は業務に「良い影響がある」と回答した人は全体の26%
飲み会が業務に良い影響があるかの質問に対し、「ある」と回答した人は25.8%、「どちらともいえない」は36.3%、「ない」と回答した人は37.9%という結果になりました。
飲み会が業務にもたらす影響は評価が分かれており、メリットを明確に感じにくいと感じている人が一定数存在していることがわかります。「飲み会の頻度は少ないのが理想」「飲み会には誘われたくない」という結果の背景には、こうした影響の実感の薄さもあるかもしれません。とはいえ、4人に1人は業務への良い影響はあると実感していることは事実です。
では、具体的にどのような影響があるのかを図4_2に示しました。
最も多かったのは「話がしやすくなった」(73.3%)、次いで「雑談が増えた」(46.1%)、「社内ネットワークが広がった」(35.7%)でした。
これらは直接業務に結びつかないかもしれませんが、職場での日常的なコミュニケーションの質を高め、信頼関係を築き、社内での連携を円滑にする効果があると考えます。一方、4位以降の「仕事で役に立つ知識を得られた」(17.8%)や「仕事へのモチベーションが上がった」(15.9%)といった回答もあり、業務パフォーマンスそのものにも好影響を与えていることが分かりました。
まとめ
今回の結果から以下がわかりました。
- • 飲み会の理想頻度は「全くない」が全体の46%と最多数
- • 月に数回以上の「高頻度層」と、年1回程度の「低頻度層」は現状に満足している人が多い
- • 月1回~半年に1回程度の「中頻度層」は現状より少ない頻度を理想としている人が多い傾向
- • 飲み会に誘われたくない人は全体の4~5割を占める
- • 飲み会に誘われたくない相手は「上司」が最も多く、次いで「部下」、「同僚」の順
- • 飲み会への参加可否において、重視するポイント上位3つは、「メンバー」「開催理由」「費用」
- • 飲み会が業務に良い影響を与えると回答した人は、全体の26%
- • 飲み会による良い影響の上位3つは、「話がしやすくなった」「雑談が増えた」「社内ネットワークが広がった」
理想の飲み会の頻度は「全くない」が全体の46%となりました。しかし、それが全ての人に当てはまるわけではありません。大切なのは、飲み会が「自分にとって負担がなく、意味を見出せる場」であることと考えます。こうした認識が広がれば、飲み会に誘う側も「なぜ誘うのか」を明確にし、相手にとって納得感のある場を提供できるようになるはずです。
現代の飲み会文化はかつての「参加して当然」というものから、「目的やメンバーに応じて自発的に参加できるコミュニケーションの場」へと変化しつつあります。形式や慣習にとらわれず、職場での信頼関係や対話の質を高める機会として活用されることが、より良い組織づくりにもつながるのではないでしょうか。
【インターネットサーベイ調査概要】
<実施詳細>
- 配信:2025/3/24
- サンプル回収数:1,000サンプル
- 配信・回収条件
年齢:20歳以上66歳未満
性別:男女
配信地域:全国
対象条件:有業者(自由業を除く)
<設問と回答選択肢(今回調査)>
問:職場の飲み会の、現在の頻度と理想の頻度を教えてください。
選択肢:週1回以上/月に数回/月に1回/2~3ヶ月に1回/半年に1回/年に1回程度または歓送迎会・忘年会などの特別な機会のみ/全くない
問:上司/同僚/部下から飲み会に誘われることをどのように感じますか?
選択肢:誘われたくない/どちらかというと誘われたくない/どちらともいえない/どちらかというと誘われたい/誘われたい
問:飲み会に参加するかどうかにおいて、重視することを以下から選んでください。(複数回答)
選択肢:開催理由(歓送迎会や忘年会など)/立地(自宅から遠くないかなど)/食事内容/お店の雰囲気/メンバー/参加人数/費用面/開始時間/誘われ方/平日か休日か/二次会の有無/その他/上記に関わらず、誘われたら参加する/上記に関わらず、参加しない
問:飲み会に参加することで、業務へ良い影響はありますか。
選択肢:かなりある/まあある/どちらともいえない/あまりない/全くない
問:具体的にどのような影響がありましたか?(複数回答)
選択肢:話かけやすくなった/雑談が増えた/社内ネットワークが広がった/仕事で役に立つ知識を得られた/仕事へのモチベーションが上がった/希望する業務を任された/新しいキャリアを見つけられた/業務の相談先/担当者が明確になった/会社への帰属意識が上がった/その他
- 本サイト記事の引用・転載の際は、必ず「出典:カオナビHRテクノロジー総研」と明記してください
- Webページなど電子的な媒体への引用・転載の場合、該当記事のURLも加えて掲載ください。
- 報道関係者様による引用・転載の場合、掲載動向の把握のため、こちらまでご連絡いただけますようお願い致します。
最近の投稿
- 2025年5月30日
- 2025年5月16日
- 2025年5月7日
- 2025年3月28日
- 2025年3月21日
カテゴリ別アーカイブ
年別アーカイブ
- 本サイト記事の引用・転載の際は、必ず「出典:カオナビHRテクノロジー総研」と明記してください
- Webページなど電子的な媒体への引用・転載の場合、該当記事のURLも加えて掲載ください。
- 報道関係者様による引用・転載の場合、掲載動向の把握のため、こちらまでご連絡いただけますようお願い致します。