カオナビHRテクノロジー総研調査レポートREPORT

2026.01.09
調査

従業員サーベイの動向ー定期実施は5割弱、そのうち年1回以上の実施が8割超ー

サーベイの背景

2023年3月期以降、上場企業に対して有価証券報告書での人的資本情報の開示が義務化されたことを背景に、従業員エンゲージメントスコア等を開示する企業が増えています。従業員エンゲージメントとは「企業と従業員のつながりの強さ」を示すもので、従業員が企業に対して抱く愛着や貢献意欲を表します。
一方、従業員満足度は給与や職場環境などへの満足度を測る指標です。前者が「主体的な貢献意欲」、後者が「働きやすさ」を主に測る点で異なります。これらを把握する手法として「エンゲージメントサーベイ」や「従業員満足度調査」があり、組織課題の発見や離職防止、生産性向上などに活用されています。
今回は、そのサーベイやアンケートの実施状況や頻度、作成方法などの実態をまとめました。

サーベイの概要

今回は以下の要領にてインターネットを用いたサーベイを実施致しました

  • サーベイ対象:20歳以上66歳未満の企業の人事・労務担当者1,000名
  • サーベイ期間:2025年3月24日(月)~2025年3月26日(水)
  • サーベイ内容:Web上でサーベイ・アンケート実施状況についての質問項目に、選択・記述式で回答
  • 結果の集計・分析:回答結果を集計し、差異や傾向を抽出(回答の構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはなりません。そのため、グラフ上に表示される構成比での計算結果は、実際の計算結果とずれが生じる場合があります)

実施状況について(全体)―「定期的な実施」は47%

Q.あなたが所属する会社・組織は、従業員のエンゲージメントや働く上での満足度を計測するサーベイやアンケートを定期的に実施していますか。

人事・労務担当者1,000名に、従業員のエンゲージメントや満足度のサーベイ・アンケートの実施状況を調査したところ、「全社的に実施している(24.3%)」、「一部の部署や組織で実施している(22.7%)」、「定期的な実施はない(37.9%)」となり、定期的な実施は47%となりました。
企業規模別でみると、規模が大きくなるにつれ定期的な実施率が高くなっていることがわかります。
次に「定期的に実施している」と回答した470人に実施頻度をたずねました。

実施頻度について(全体)―年1回以上の実施が8割以上

Q.サーベイやアンケートの実施頻度を教えてください。

先ほどの「定期的に実施しているかどうか」の結果と比較すると、実施頻度については企業規模による大きな差は感じられません。注目したい点としては、どの企業規模においても、「年1回程度」以上と回答した方が7割を超えています。年1回以上の実施が、サーベイやアンケートのスタンダードになっていると考えられます。 実施頻度がわかったところで、次は実施目的についてみていきたいと思います。

実施の目的(全体)-最も多いのは「人事や働き方に関する施策検討の材料(54.4%)」

Q.サーベイやアンケートを実施している目的を教えてください。(複数回答)

全体(n=452)で見ると、最も多いのは「人事や働き方に関する施策検討の材料(54.4%)」、次いで「ハラスメントの発見や防止(50.4%)」、「組織の課題の可視化(50.0%)」と続きます。一方、最も少ないのは「すでに実施している施策の効果検証(21.7%)」です。課題の可視化→実行後についての検証については、積極的に実行できていない、もしくはサーベイ上で検証を行うことは少ないのかもしれません。
企業規模別では、小規模企業(~99人)はいずれの項目においても全体平均を下回っている傾向です。一方で、全体平均と比較して高い傾向を示したのは、中規模企業(100~499人)の「組織文化の醸成(34.4%)」でした。
目的がわかったところで、サーベイやアンケートはどのように行っているのでしょうか。利用しているツールを次に示します。

使用ツール(全体)―エンゲージメント特化システムの活用が最多

Q.サーベイやアンケートの実施にどのようなツールを使っているか教えてください。(複数回答)

全体(n=470)では、「エンゲージメント特化システム」を使用していると回答した方が42.3%で、その次に「タレントマネジメント・人材管理系のシステム」が39.6%となりました。紙ベースでの実施は少なく、デジタルツールの活用が多いことがわかります。
企業規模別では使用ツールの違いが少し見受けられ、特に「Excelやメール・メッセージシステム」や「紙」を使用しているのは、中小規模企業(499名以下)に多い傾向があります。
なお、本設問は複数回答が可能でしたが、ツールを併用している人は全体の33.2%で、併用の組み合わせとして最も多かったのは、「タレントマネジメント・人材管理系のシステム」と「エンゲージメントサーベイ・アンケートに特化したシステム」の組み合わせでした。

作成者について(全体)-テンプレ―トを元にして作成している人が約半数

Q.サーベイやアンケートの設問は誰が作成していますか。(複数回答)

全体(n=470)では、「利用システムのテンプレートをもと作成(49.8%)」と回答した方が最も多い結果です。次点では「コンサルなど外部の事業者(34.5%)」が続き、効率的な作成方法を選択している様子がうかがえますが、その次の「自社の従業員が一から(33.4%)」は第2位との差がほとんどありません。
企業規模別は全体結果と同様に、「利用システムのテンプレートをもとに作成」がトップを占めていますが、中規模企業(100~499人)においては「自社の従業員が一から」の割合が相対的に高く、トップと同水準(差は1.1p)となっています。他の規模では一貫して“テンプレートを活用>一から作成”であることを踏まえると、中規模企業に特有の事情が影響している可能性が考えられます。
例えば、
・人事施策や制度が発展途上にあり、ある程度型ができているテンプレートより自社の実態に即した質問を独自に作成したい
・他の企業規模と比較して専用ツールではなくExcelやメール・メッセージシステムの割合が高い
ことから、結果として一から作成ケースが多くなっているということが考えられそうです。

まとめ

①全体の約半数が定期的にサーベイ・アンケートを実施

 ・定期的な実施率は企業規模が大きくなるにつれ増加

 

②全体の8割超が「年1回程度」以上の頻度で実施

 ・いずれの企業規模においても、「年1回程度以上」が7割を超えているため、これが企業規模問わず標準的な頻度であると考える

 

③全体での実施目的Top3は「人事や働き方での施策検討材料」「ハラスメントの発見・防止」「組織課題の可視化」

 最も少なかったのは「実施している施策の効果検証」

 ・「実施している施策の効果検証」が少ない背景には、施策の効果検証まで積極的に実行できていない、もしくはサーベイ上での検証は少ない

 ・企業規模別では中規模企業(100~499名)において「組織文化の醸成」が全体平均より高く、目立っている。組織が拡大するフェーズの中で組織文化を再浸透させたいといった背景も考えられる

 

④全体ではエンゲージメント特化システム等の“デジタルツール”の活用が主

 ・紙の使用は、相対的に小規模企業(従業員99名以下)に多く見られる

 ・Excel、メール、メッセージシステムの使用は、相対的に中規模企業(従業員100~499名)に多く見られる

 

⑤全体では「利用システムのテンプレートを元に作成」が最多

 ・企業規模別も全体と同様に「利用システムのテンプレートを元に作成」がTopを占めている

  →中規模企業(100~499名)に限っては、「自社の従業員が一から作成」の割合が相対的に高い。人事施策や制度が発展段階であり、テンプレートではなく自社にあったものを一から作成したいといった背景も考えられる

 ・コンサル等の外部業者の活用はあるものの、大学教授などの研究者はごく少数

最後に

今回の調査では、サーベイ・アンケートの実施状況には「企業規模による違い」と「企業規模問わず共通している点」の双方があることが明らかになりました。例えば、サーベイ・アンケートの定期的な実施率は企業規模が大きいほど高い一方で、実施頻度そのものは、“年1回以上”がスタンダードです。
また、目的や作成方法には企業規模による特徴があり、特に中規模企業では「組織文化の醸成」を目的としている割合が高いことや、「自社の従業員が一から作成する」が他の企業規模より相対的に高いといった傾向もみられました。 こうした企業規模による違いは、”サーベイ・アンケートが形式的に行うもの”ではなく、各組織の状況や課題感に応じて、多様な設計が必要であることを示しています。重要なのは、頻度や作成方法そのものではなく、「何を把握し、どのような意思決定につなげたいのか」という目的に沿ってサーベイを位置づけることです。
本調査の結果が、各企業が自社の状況に合ったより良いサーベイ・アンケート運用を検討する際の参考になれば幸いです。

 

【インターネットサーベイ調査概要】

<実施詳細>

  • 配信:2025/3/24
  • サンプル回収数:1,000サンプル
  • 配信・回収条件
    年齢:20歳以上66歳未満
    性別:男女
    配信地域:全国
    対象条件:企業の人事・労務担当者

 

<設問と回答選択肢(今回調査)>
:あなたが所属する会社・組織は、従業員のエンゲージメントや働く上での満足度を計測するサーベイやアンケートを定期的に実施していますか。(SA)
選択肢:全社的に実施している/一部の部署や組織で実施している/定期的な実施はない/知らない・わからない
 
:そのサーベイやアンケートを実施している目的を教えてください。(MA)
選択肢:選択肢:組織の課題の可視化/人事や働き方に関する施策検討の材料/離職防止・離職率低減/生産性の維持・向上/ハラスメントの発見や防止/組織文化の醸成/すでに実施している施策の効果検証/従業員の健康・メンタル状態の可視化/その他/知らない・わからない
 
:そのサーベイやアンケートの実施頻度を教えてください。(SA)
選択肢:年3回以上/年2回程度/年1回程度/2年に1回程度/3年に1回程度/3年に1回よりも頻度が少ない/複数部署・組織が対象であり、頻度にばらつきがある/知らない・わからない
 
:そのサーベイやアンケートの実施にどのようなツールを使っているか教えてください。(MA)
選択肢:タレントマネジメント・人材管理系のシステム/エンゲージメントサーベイ・アンケートに特化したシステム(wevoxやモチベーションクラウドなど)/アンケートに特化した汎用オンラインツール(Google Formsなど)/Excelやメール・メッセージシステム/紙/その他/知らない・わからない
 
:そのサーベイやアンケートの設問は誰が作成していますか。複数該当する場合は、複数回答してください。(MA)
選択肢:自社の従業員が一から考えて作成している/利用しているシステムにあるテンプレートをもとに作成している/コンサルなど外部の事業者が作成している/大学教授など外部の研究者が作成している/その他/知らない・わからない

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