カオナビHRテクノロジー総研調査レポートREPORT
入社3年以内の離職。最も多いタイミングは?中途入社者の離職状況と対策の実態

サーベイの背景
採用した人材がすぐやめてしまうーそんな悩みを抱える企業は多いのではないでしょうか。
企業にとって「採用後の人材定着」は経営を左右する重要課題の一つとなっています。採用した人材が能力を発揮する前に組織を離れてしまうことは、その投資効果が活かされないだけでなく、組織の持続的な成長にも影響します。
では、中途入社者はなぜ、どのタイミングで組織を離れる決断を下すのでしょうか。また、企業側はその課題にどう向き合っているのでしょうか。
本レポートでは、中途採用担当者300名を対象とした調査結果をもとに、直近入社3年以内の中途入社者における離職タイミングの実態と、その裏に隠された離職理由を明らかにします。
サーベイの概要
今回は以下の要領にてインターネットを用いたサーベイを実施致しました
- サーベイ対象:直近1年以内に1名以上の中途採用を行った、25歳以上60歳未満の中途採用担当者300名
- サーベイ期間:2026年3月12日(木)~2026年3月13日(金)
- サーベイ内容:Web上で、離職状況についての質問項目に、選択・記述式で回答
- 結果の集計・分析:回答結果を集計し、差異や傾向を抽出(回答の構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはなりません。そのため、グラフ上に表示される構成比での計算結果は、実際の計算結果とずれが生じる場合があります)
サマリ
- 調査結果① 直近3年以内の中途入社者の離職:担当者の4割が「入社1年未満」が最も多いと回答
- 調査結果② 1年目の離職が多い職場に共通するのは「業務内容の相違」や「人間関係」。3年目付近では「評価への不満」が全体平均を約20pt上回る
- 調査結果③ 離職状況について「対策に反映できている」は、約2割にとどまる
直近3年以内の中途入社者の離職:担当者の4割が「入社1年未満」が最も多いと回答
直近3年以内に中途入社者において、最も多い離職タイミングをたずねました。その結果が図1です。

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Q. 直近3年以内の採用者で「離職」が発生する場合、どのタイミングが最も多いと感じますか。
回答者数:300人
約4割の中途採用担当者が最も多い離職タイミングを「1年未満」と回答し、入社後早期の離職が浮き彫りとなりました。具体的な内訳を見ると、「1年〜2年未満(19.0%)」や「2年〜3年以内(18.3%)」が2割弱に留まるのに対し、「1年未満」は41.0%と突出しています。なかでも「半年以内」の離職が2割(20.0%)に達しています。採用育成への投資が成果として実を結ぶ前に離職が発生している現状は、企業にとって見過ごせない課題といえるでしょう。
ではどのような理由により離職しているのでしょうか。
1年目の離職が多い職場に共通するのは「業務内容の相違」や「人間関係」
3年目付近では「評価への不満」が全体平均を約20pt上回る
図2_1に、直近3年以内の中途入社者における離職理由を示しました。
回答者数:前問で「離職は発生していない(または、ほぼない)」と回答した人を除く、235人
「業務内容の相違(41.3%)」がトップとなり、次いで「人間関係のストレス(34.0%)」「条件との相違(31.1%)」が続きます。一方、最も低いのは、その他を除くと「前向きな卒業(6.8%)」でした。直近3年以内の中途入社者において、入社後のギャップや職場環境が主要因となっていることがわかります。
続いて、離職タイミング別ではどうでしょうか。
(補足として)なお、離職タイミング別の分析の見方について補足です。これは「そのタイミングで辞めた人の理由」を示すものではなく、「そのタイミングでの離職が多い職場に、どんな共通点があるか」を読み解くものです。個人の事情ではなく、職場側の傾向や課題を見るための分析としてご理解いただけますと幸いです。
入社1年未満
離職理由を分析すると、入社1年未満の離職は「入社前の期待との乖離」と「人間関係」が主な引き金となっています。まず、半年以内の離職層では「業務内容の相違」「人間関係のストレス」「条件との相違」の3項目が全体平均を上回っています。この傾向は半年〜1年未満の層でも継続しますが、この時期からは新たに「放置・教育不足」が離職要因として顕在化する点が特徴的です。
これらのデータから、入社1年未満の段階では「事前の情報相違」や「馴染めなさ」が離職を招き、時間の経過とともに「サポート体制の不備」が浮き彫りになる様子が伺えます。
入社1年~2年未満
このタイミングの特徴は「半年~1年未満」と同様に、「業務内容の相違」や「人間関係のストレス」に加え、「放置・教育不足」が全体平均を上回る点にあります。入社から1年が経過すると業務への慣れが生まれる一方で、「もう一人前だろう」という周囲の認識が高まり、本人が感じる不安や孤立感を見えにくくしてしまう可能性がありそうです。また、「他社からの引き抜き」も全体平均を上回っており、外部からの誘いが離職の一因となるケースも一定数存在することがわかります。
入社2年~3年以内
これまで上位だった「人間関係のストレス」が後退する一方、「評価への不満」が全体平均の17%から19.4pt高く、「業務内容の相違」に次いで2位へと浮上しているのがこのタイミングの特徴です。
入社から2~3年が経過すると、成果も出始める時期と想像できます。だからこそ「自身の貢献が正当に評価されているか」をシビアに問い直すようになり、その期待が満たされないと感じた際、離職という選択肢が現実味を帯びてくるのではと考えます。
ここまでで直近3年以内中途入社者における、最も多い離職タイミングおよびその離職理由を紹介しました。各グループによって、目立つ離職理由や順位に違いはあるものの、「業務内容の相違」「人間関係のストレス」「条件との相違」は、どの時期においても上位に挙がり続けています。これらは、入社後の定着を阻む共通要因であり、組織が常に向き合い続けるべき構造的な問題と言えます。こういった共通課題への全社的な取り組みを基盤としつつ、年次ごとに異なる「離職を招くリスク要因」を的確に把握し、フォローする体制も早期離職の改善には不可欠であると考えます。
では、こういった離職状況は社内でどのように分析・評価されているのでしょうか。
離職状況について「対策に反映できている」は、約2割にとどまる
図3に、直近の離職状況について社内でどのように分析・評価されているか、の結果を示しました。
回答者数:前問で「離職は発生していない(または、ほぼない)」と回答した人を除く、235人
「離職の事実は把握しているが、具体的な対策には至っていない」が59.6%と最も多い回答となりました。「離職は個人の事情として片づけられ、組織的な分析はおこなっていない(16.6%)」と合わせると、全体の76%が「具体的な対策」や「組織的な分析」にまで踏み込めていない状況であることがわかります。つまり、離職の背景要因を組織的に捉え、再発防止や改善につなげる取り組みには十分に至っていない実態がうかがえます。
さらに、「離職理由を特定し、対策(オンボーディング等)に反映できている」と回答した中途採用担当者は18.7%にとどまっており、離職を組織改善の材料として活用できている企業は限定的であることも明らかになりました。
もし仮に、分析工数が多く時間が充分に確保できない、データが散在し共有されておらず組織的に蓄積・分析・活用する仕組みが構築できていない、といった課題により対策・分析に踏み込めていないのであれば、タレントマネジメントシステムなどを活用することも有効な手段の一つとなり得ます。散在したデータを一元管理することで分析工数の削減が期待でき、分析結果の共有により組織全体としての課題認識が統一されやすくなります。同時に、離職の「いつ・誰が・なぜ」が可視化されることで、表面には出てこない構造的な問題が見え、具体的な改善策の立案も検討しやすくなると考えられます。
このようにして実現されるデータの一元管理・可視化は、単なるデータ整理ではなく、組織的な改善を実現するための基盤になると考えます。
まとめ
今回の調査から、直近3年以内の中途入社者の離職タイミングは入社1年以内が4割にのぼり、その主な要因は「業務内容の相違」や「人間関係のストレス」「条件の相違」といった入社前後のギャップにあることが浮き彫りとなりました。特筆すべきは、離職理由が時期ごとにわずかに変遷している点です。初期の「情報の相違」から、1年後の「サポート不足」、そして3年目付近の「評価への不満」へと、従業員が求めるフォローの内容は変化していきます。
しかし現状では、こうした離職状況を具体的な対策に反映できている企業はわずか2割に留まっています。そして、離職の事実は把握しているものの、その背景要因を組織的に分析し、改善につなげる取り組みが十分に進んでいない実態が浮き彫りとなりました。こうした状況を変えるには、離職を「個人の事情」として片付けるのではなく、組織の構造的な課題として捉え直すことが不可欠です。前述のタレントマネジメントシステム等の活用で明らかになった分析結果をもとに、具体的な対策へ進むことが重要です。
例えば、「入社1年目で、業務内容のギャップや人間関係を理由に辞める人が多い」という傾向があった際には、打ち手は採用と受け入れの両面から考える必要があります。採用の場面では、業務内容において求職者と認識の齟齬が生じないよう、より正確で詳細な情報を提供することが求められます。加えて、社員の一日を収めた動画や資料を用意したり、 現場の社員と直接話す機会を設けたりすることで、入社前後のギャップを小さくすることもできるでしょう。
一方、受け入れの場面では、個々の特性や価値観を踏まえた支援を組織として仕込み化していくことが重要です。例えば、入社前の情報を社内で共有することで、相性を踏まえたメンターや教育担当の選定につながり、 人間関係を理由とした早期離職の防止にも寄与すると考えます。
離職理由の上位に挙がった項目の多くは、組織側の対話や仕組みづくりで防げるものであると考えます。 採用時の情報開示から入社後のオンボーディング、そして中長期的な人事評価までを「一本の線」で つなぐ取り組みが、持続的な定着を実現するための重要な鍵になるといえるでしょう。
【インターネットサーベイ調査概要】
<実施詳細>
- 配信:2026/3/12
- サンプル回収数:300サンプル
- 配信・回収条件
年齢:25歳以上60歳未満
性別:男女
配信地域:全国
対象条件:直近1年間において1名以上の中途採用を行った企業に在籍する、中途採用担当者
<設問と回答選択肢(今回調査)>
問:直近3年以内の採用者で「離職」が発生する場合、どのタイミングが最も多いと感じますか。(SA)
選択肢:半年以内/半年~1年未満/1年~2年未満/2年~3年以内/直近3年以内の採用者で離職は発生していない(または、ほぼない)
問:直近3年以内の中途採用者において、離職が発生した(あるいは、定着に際して課題・懸念となっている)理由として、当てはまるものを教えてください。(MA)
選択肢:業務内容の相違(面接時と実際の仕事内容の乖離)/条件(年収・福利厚生)との相違/他社からの引き抜き(条件アップ)/放置・教育不足(現場が忙しく、フォローがない)/将来への不安(この会社にいても成長できないと感じる)/評価への不満(昇給・昇格など)/人間関係のストレス(上司やチームとの相性)/ワークライフバランスの欠如(残業が多い、休みが取れない)/前向きな卒業(キャリアアップ)/家庭の事情(介護・転勤など)/その他
問:直近の中途採用者の離職状況(タイミングや理由)について、社内ではどのように分析・評価されていますか?(SA)
選択肢:離職理由を特定し、対策(オンボーディング等)に反映できている/離職の事実は把握しているが、具体的な対策には至っていない/離職は個人の事情として片付けられ、組織的な分析はしていない/定着率が高いため、特に対策の必要性を感じていない
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