カオナビHRテクノロジー総研調査レポートREPORT

2022.03.23
調査

まん延防止等重点措置の影響は? ~2022年2月 リモートワーク実態調査<前編>~

サーベイの背景

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、テレワーク、在宅勤務、リモートワーク等の「出社をしない」働き方(以降、すべての働き方を含めて「リモートワーク」とします)を始めた方も多いのではないでしょうか。カオナビHRテクノロジー総研では、コロナ禍で初めての緊急事態宣言下でのリモートワーク実施率を2020年5月に計測してから、継続的に調査を実施しており、この度2022年2月にも調査を実施しました。
 
調査実施期間である2022年2月8日から2月10日は、18の都道府県(北海道、青森県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、香川県、熊本県)でまん延防止等重点措置が発令されていました。まん延防止等重点措置は、飲食店事業者への要請事項はあるものの、企業に従業員の働き方について直接的に何かを要請するものではありません。しかしながら、該当地域の住民に不要不急の外出の自粛を要請はしており、働く人自身がリモートワークを選択する可能性もありますし、企業が斟酌し出社制限をかける可能性もあり、リモートワーク実施率に何等かの影響があったとしてもおかしくはありません。
 
2020年5月および8月2021年1月に実施したリモートワーク実態調査の結果とも比較しながら、リモートワークの今を考察していきます。今回は<前編>として、全国のリモートワーク実施状況と居住あるいは勤務地域別の傾向を見ていきます。

サーベイの概要

今回は以下の要領にてインターネットを用いたサーベイを実施致しました

  • サーベイ対象:20歳以上60歳未満の自由業を除く有業者10,752名
  • サーベイ期間:2022年2月8日(火)~2022年2月10日(木)
  • サーベイ内容:Web上でリモートワークについての質問項目に、選択・記述式で回答
  • 結果の集計・分析:回答結果を集計し、差異や傾向を抽出(回答の構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはなりません。そのため、グラフ上に表示される構成比での計算結果は、実際の計算結果とずれが生じる場合があります)

比較対象となる前回までの調査

  • 2021年1月調査:緊急事態宣言発令の影響は? 2021年1月 リモートワーク実態調査<前編>および<後編>

 

調査結果① 2022年2月のリモートワーク実施率は全体で20.6%

  • Q.直近1ヵ月の就業場所への出社状況について教えてください(以降の図も同様)


本レポート内では「毎日リモートワーク(=勤務時間の90%以上がリモートワーク)」もしくは「出社とリモートワークを併用している」に該当する人、つまり一部でもリモートワークをしている人はすべて含めて「リモートワークを実施している」とみなし、「リモートワーク実施率」に含めます。全体では「毎日リモートワーク」が7.1%、「出社とリモートワークを併用」が13.5%となり、合わせて20.6%のリモートワーク実施率となりました。

調査結果② 「毎日出社」の割合は調査開始以降、最多の75.8%に


※2020年5月は選択肢が異なったため、「週に2~3出社し、その他はリモートワーク」を「出社とリモートワークを併用」、「休業している」を「完全休業」とみなして作成(以降の図も同様)


2020年5月以降のリモートワーク実施率の推移のグラフが図2です。リモートワーク実施率の計測時期について、以下の通り補足します。

  • 2020年5月:コロナ禍で初めての緊急事態宣言が全国的に発令
  • 2020年8月および12月:特に発令等はなし
  • 2021年1月:11の都府県で緊急事態宣言が発令
  • 2022年2月(今回調査):18の都道府県でまん延防止等重点措置が発令

 
今回2022年2月のリモートワーク実施率は20.6%ですが、2020年12月の実施率とほぼ同値となりました。一方「毎日出社」は75.8%と過去最多となっています。また「出社とリモートワークの併用」は13.5%と過去最低です。全国的には、まん延防止等重点措置によってリモートワークが増加するような傾向は見受けられず、むしろわずかに出社回帰の傾向が見受けられるようです。

調査結果③ まん延防止等重点措置の地域の居住者のリモートワーク実施率は24.3%、その他地域は10.8%と差はあるが…




図3は、まん延防止等重点措置下の18都道府県に居住地がある人とそれ以外の地域の人のリモートワーク実施率の比較となります。まん延防止等重点措置下の地域ではリモートワーク実施率が24.3%、それ以外の地域では10.8%となり、明確な差が出ていることが分かります。

一見、まん延防止等重点措置が当該地域のリモートワークを押し上げているようにも見えますが、当該措置が主要要因と言うには早計です。



一都三県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)のリモートワーク実施率が高い、という背景があります。これは調査開始以来、継続している傾向です。図4を見ると、まん延防止等重点措置の地域とその他の地域のリモートワーク実施率にも差はあるものの、一都三県とその他の地域の差の方が大きいということが分かります。一都三県の居住者とそれ以外の地域の居住者では、リモートワークの身近さに隔たりがあるということも言えるでしょう。

調査結果④ 勤務地域別でも、首都圏(=一都三県)のリモートワーク実施率が33.3%と引き続き高い

※勤務地域のカッコ内の数値は回答数(以降の図も同様)

ここまでは回答者の居住地別で実施率を出してきましたが、勤務地域別の傾向も見てみます。こちらも居住地と同様に、首都圏(=一都三県)の実施率が突出して高く、33.3%となっています。全体のリモートワーク実施率の20.6%を超えているのは、実は首都圏のみとなっており、次点の近畿エリアでは17.8%です。

調査結果⑤ まん延防止等重点措置下の首都圏勤務者のリモートワーク実施率は2020年12月の無発令時期と同水準

首都圏(=一都三県)エリアはリモートワーク実施率が恒常的に高いことに加え、一都三県は今回のまん延防止等重点措置や過去の緊急事態宣言も足並みを揃えて発令を出していたこともあり、時系列変化を追うことで各発令の影響が分かりやすいでしょう。

調査結果②に記載した計測時期の補足の通り、2020年12月はどこの地域にも特に発令等のない時期でしたが、今回調査の数値と同水準となっており、まん延防止等重点措置はリモートワーク実施率に影響をほぼ与えていないだろうと思われます。むしろ今回調査で首都圏のリモートワーク実施率は、「出社とリモートワークを併用」は微減、「毎日出社」は微増の傾向を示しており、出社回帰の兆候ではないかとも思われます。今後リモートワークは減少するのか、それともすでに実施している企業では定着をするのか、引き続きカオナビHRテクノロジー総研では注視していきます。

前編の調査結果のまとめ ~まん延防止等重点措置の影響は?~

前編で明らかになった調査結果は、以下の通りです。

  • 調査結果① 2022年2月のリモートワーク実施率は全体で20.6%
  • 調査結果② 「毎日出社」の割合は調査開始以降、過去最多の75.8%に
  • 調査結果③ まん延防止等重点措置の地域の居住者のリモートワーク実施率は24.3%、その他地域は10.8%と差はあるが…
  • 調査結果④ 勤務地域別でも、首都圏(=一都三県)のリモートワーク実施率が33.3%と引き続き高い
  • 調査結果⑤ まん延防止等重点措置下の首都圏勤務者のリモートワーク実施率は2020年12月の無発令時期と同水準

 
まん延防止等重点措置が18の都道府県で適用された2022年2月には、リモートワーク実施率は日本全体で20.6%となりました。これは2020年12月の特に発令等のなかった時期とほぼ同水準の値です。首都圏の勤務者に限定した場合、リモートワーク実施率は33.3%となっており、これも2020年12月とほぼ同水準となっています。まん延防止等重点措置はリモートワーク実施率の大勢に影響を与えるものではなく、むしろ全国の「毎日出社」の割合は75.8%と2020年5月の調査開始以降、過去最多となりました。
次回<後編>では、会社規模、職種、業種などの区分で、リモートワーク実施率やその変化を見ていきたいと思います。
 
 

【インターネットサーベイ調査概要】

<実施詳細>

  • 配信:2022/2/8
  • サンプル回収数:10,752サンプル
  • 配信・回収条件
    年齢:20歳以上60歳未満
    性別:男女
    配信地域:全国
    対象条件:有業者(自由業を除く)

 
<設問と回答選択肢(今回調査)>
:直近1ヵ月の就業場所への出社状況について教えてください。
選択肢:基本的に毎日、就業場所に出社して働いている(勤務時間の90%以上が出社で、その他がリモートワーク)/勤務時間の半分以上は就業場所に出社し、それ以外は出社せずにリモートワークで働いている(勤務時間の50~89%程度が出社で、その他がリモートワーク)/勤務時間の半分以上は出社せずにリモートワークで働き、それ以外は就業場所に出社している(勤務時間の10~49%程度が出社で、その他がリモートワーク)/基本的に毎日、リモートワークで働いている(勤務時間の10%未満が出社で、その他がリモートワーク)/部分的に休業もしくは休暇を取りながら、勤務の際は就業場所に出社している/部分的に休業もしくは休暇を取りながら、それ以外はリモートワークで働いている/部分的に休業もしくは休暇を取りながら、就業場所への出社とリモートワークを併用している/完全に休業している/その他(自由記述)

 

<結果の集計における備考>
本レポート内の「出社とリモートワークを併用(している)」いう表現は、上記の選択肢のうち
勤務時間の半分以上は就業場所に出社し、それ以外は出社せずにリモートワークで働いている(勤務時間の50~89%程度が出社で、その他がリモートワーク)/勤務時間の半分以上は出社せずにリモートワークで働き、それ以外は就業場所に出社している(勤務時間の10~49%程度が出社で、その他がリモートワーク)/部分的に休業もしくは休暇を取りながら、それ以外はリモートワークで働いている/部分的に休業もしくは休暇を取りながら、就業場所への出社とリモートワークを併用している が含まれる。
また「毎日出社(している)」には、基本的に毎日、就業場所に出社して働いている(勤務時間の90%以上が出社で、その他がリモートワーク)/部分的に休業もしくは休暇を取りながら、それ以外はリモートワークで働いている が含まれ、「毎日リモートワーク」には、基本的に毎日、リモートワークで働いている(勤務時間の10%未満が出社で、その他がリモートワーク)/部分的に休業もしくは休暇を取りながら、それ以外はリモートワークで働いている が含まれている。

 

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