カオナビHRテクノロジー総研調査レポートREPORT
リモートワーク実施率は前年同様の17% ~2025年3月 リモートワーク実態調査~
サーベイの背景
新型コロナウイルスの流行を受けて、テレワーク、在宅勤務、リモートワーク等の「出社をしない」働き方(以降、すべての働き方を含めて「リモートワーク」とします)を始めた方も多いのではないでしょうか。カオナビHRテクノロジー総研では、コロナ禍で初めての緊急事態宣言下でのリモートワーク実施率を2020年5月に計測してから、継続的に調査を実施しており、この度2025年3月にも調査を実施しました。
過去のコロナの影響が色濃くあった時点でのリモートワーク実態調査の結果とも比較しながら、リモートワークの今を考察していきます。
サーベイの概要
今回は以下の要領にてインターネットを用いたサーベイを実施致しました
- サーベイ対象:19歳以上66歳未満の自由業を除く有業者4,449名
- サーベイ期間:2025年3月24日(月)~2025年3月26日(月)
- サーベイ内容:Web上でリモートワークについての質問項目に、選択・記述式で回答
- 結果の集計・分析:回答結果を集計し、差異や傾向を抽出(回答の構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはなりません。そのため、グラフ上に表示される構成比での計算結果は、実際の計算結果とずれが生じる場合があります)
比較対象となる前回までの調査
- 2021年1月調査:緊急事態宣言発令の影響は? ~2021年1月 リモートワーク実態調査<前編>および<後編>~
- 2022年2月調査:まん延防止等重点措置の影響は? ~2022年2月 リモートワーク実態調査<前編>および<後編>~
- 2022年12月:実施率2割を切り、リモートワーク離れが加速中。そんな中、実施率が増加したのは…?~2022年12月 リモートワーク実態調査~
- 2024年3月:リモートワーク実施率は17.0%で定着か ~2024年3月 リモートワーク実態調査~
調査結果① 2025年3月のリモートワーク実施率は全体で17.0%
-
Q.直近1ヵ月の就業場所への出社状況について教えてください(以降の図も同様)
本レポート内では「毎日リモートワーク(=勤務時間の90%以上がリモートワーク)」もしくは「出社とリモートワークを併用している」に該当する人、つまり一部でもリモートワークをしている人はすべて含めて「リモートワークを実施している」とみなし、「リモートワーク実施率」に含めます。全体では「毎日リモートワーク」が4.3%、「出社とリモートワークを併用」が12.7%となり、合わせて17.0%のリモートワーク実施率となりました。
調査結果② 「リモートワークを実施している人」は17.0%で前年同様の結果
2020年5月以降のリモートワーク実施率の推移のグラフが図2です。リモートワーク実施率の計測時期について、以下の通り補足します。
- 2020年5月:コロナ禍で初めての緊急事態宣言が全国的に発令
- 2020年8月および12月:特に発令等はなし
- 2021年1月:11の都府県で緊急事態宣言が発令
- 2022年2月:18の都道府県でまん延防止等重点措置が発令
- 2022年12月:特に発令等はなし
- 2024年3月:特に発令等はなし
- 2025年3月:特に発令等はなし
今回2025年3月のリモートワーク実施率は17.0%で、前年2024年3月と同じ結果になりました。リモートワーク実施率は「毎日リモートワーク」と「出社とリモートワークの併用」の割合の合計で、内訳こそ少し変動がありますが、今後もこの実施率が定着していくと思われます。
調査結果③ 勤務地域別は引き続き「首都圏」が最も高く27.9%
首都圏(=一都三県)のリモートワーク実施率が突出しており、27.9%でした。前年は27.1%だったため、ほとんど変動はありません。なお、前年と比較して変化が大きかったのは以下の地域です。
・北関東:前年よりプラス4.5pt
・東北・北海道:前年よりマイナス2.4pt
調査結果④ 会社規模別では、「5,000人以上」の会社のリモートワーク実施率が26.9%と前年同様に最多
「5,000人以上」が26.9%と最多となりました。次いで「3,000人~4,999人」の25%です。前年と比較して変動が大きかったのは、以下の会社規模です。
・500~999人:前年よりプラス2.7pt
・50~99人:前年よりマイナス3.1pt
調査結果⑤ 職種別ではリモートワーク実施率の上位は変わらずオフィスワーカー3職種
前年のリモートワーク実施率の上位職種3つは「事務系管理職」「事務職・技術系事務職」「営業職」のオフィスワーカー3職種でしたが、今回も同様の結果となりました。上位3職種について前年と比較すると、以下になります。
・事務系管理職:前年よりマイナス0.1pt
・事務職・技術系事務職:前年よりマイナス0.4pt
・営業職:前年よりプラス1.6pt
調査結果⑥ 業種別では、トップは変わらず「IT・インターネット」で58%
業種別でのリモートワーク実施率トップは前年同様、「IT・インターネット」で、前年よりプラス2.2ptという結果です。2位と3位も前年同様の顔ぶれですが、「マスコミ・広告」は前年よりプラス6.5%、「通信・インフラ」は前年よりプラス5.8%と増加傾向にあります。
今回の調査結果のまとめ
今回調査で明らかになった調査結果は、以下の通りです。
- 調査結果① 2025年3月のリモートワーク実施率は全体で17.0%
- 調査結果② 前回2024年3月の調査からほぼ変動ないが、「毎日出社」率は過去最多に
- 調査結果③ 勤務地域別は引き続き「首都圏(=一都三県)」のリモートワーク実施率が27.9%と高い
- 調査結果④ 会社規模別では、「5,000人以上」の会社のリモートワーク実施率が26.9%と最多
- 調査結果⑤ 職種別ではリモートワーク実施率の上位は変わらずオフィスワーカー3職種。営業職は前年より1.6pt上昇
- 調査結果⑥ 業種別では、トップは変わらず「IT・インターネット」で58%。前年より2.2pt上昇
今回の調査では、日本全体のリモートワーク実施率が17.0%となり、前年と同水準を維持する結果となりました。地域や職種、業種などの各カテゴリを詳しく見ると、増加している分野と減少している分野が混在していますが、全体としては大きな変動は見られませんでした。この結果は、2020年以降低下傾向だったリモートワーク実施率の下げ止まりを示しているのではないでしょうか。つまり、実施率17%というのが、ひとまずのリモートワークの定着割合と言えます。
とはいえ、従業員のリモートワーク需要の高まりや人手不足により、出社必須からリモートワークへと移行する企業が増える可能性はあります。それにより、リモートワーク実施率も多少上昇するかもしれません。
【インターネットサーベイ調査概要】
<実施詳細>
- 配信:2025/3/24
- サンプル回収数:4,449サンプル
- 配信・回収条件
年齢:19歳以上66歳未満
性別:男女
配信地域:全国
対象条件:有業者(自由業を除く)
<設問と回答選択肢(今回調査)>
問:直近1ヵ月の就業場所への出社状況について教えてください。
選択肢:基本的に毎日、就業場所に出社して働いている(勤務時間の90%以上が出社で、その他がリモートワーク)/勤務時間の半分以上は就業場所に出社し、それ以外は出社せずにリモートワークで働いている(勤務時間の50~89%程度が出社で、その他がリモートワーク)/勤務時間の半分以上は出社せずにリモートワークで働き、それ以外は就業場所に出社している(勤務時間の10~49%程度が出社で、その他がリモートワーク)/基本的に毎日、リモートワークで働いている(勤務時間の10%未満が出社で、その他がリモートワーク)/その他(自由記述)
<結果の集計における備考>
本レポート内の「出社とリモートワークを併用(している)」いう表現は、上記の選択肢のうち
勤務時間の半分以上は就業場所に出社し、それ以外は出社せずにリモートワークで働いている(勤務時間の50~89%程度が出社で、その他がリモートワーク)/勤務時間の半分以上は出社せずにリモートワークで働き、それ以外は就業場所に出社している(勤務時間の10~49%程度が出社で、その他がリモートワーク) が含まれる。
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