カオナビHRテクノロジー総研調査レポートREPORT

2023.04.05
調査

有休フル消化?それとも全く消化できていない?!~有休取得実態について迫る~

サーベイの背景

2019年4月、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年に5日の有給休暇取得が義務化されました。違反すると、1人につき30万円以下の罰金が使用者に科せられますが、この義務化の背景となったのは、有休取得率の低調さです。コロナ禍となり、義務化された当初から環境がめまぐるしく変化しましたが、働く人々の有休取得の実態はどうなっているのでしょうか。「忙しくて有休なんて取得できない・・」「上司に言いづらい・・」と感じている方もいれば、「会社側の管理が厳しく、有休はほとんど取得できている」「職場の雰囲気が良く、有休取りやすい!」など、感じていることはそれぞれあるでしょう。年次有給休暇年5日取得義務の認知率や今現在の有休取得の実態について、見ていきたいと思います。

サーベイの概要

今回は以下の要領にてインターネットを用いたサーベイを実施致しました

  • サーベイ対象:20歳以上60歳未満の自由業を除く有業者1,000名
  • サーベイ期間:2022年12月22日(木)~2022年12月26日(月)
  • サーベイ内容:Web上で年次有給休暇についての質問項目に、選択・記述式で回答
  • 結果の集計・分析:回答結果を集計し、差異や傾向を抽出(回答の構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはなりません。そのため、グラフ上に表示される構成比での計算結果は、実際の計算結果とずれが生じる場合があります)

■調査①-1 64%が年5日の年次有給休暇取得義務を認知

  • Q. 2019年4月から、すべての企業において年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち、年5日の取得が義務付けされましたが、あなたはこのことを知っていましたか。


2019年に義務化された年5日の年次有給休暇取得を知っている方は64%、知らなかった方は35%となりました。義務化されて約4年が経とうとしている中で、「知らない」方が約3割もいることは、比較的多く感じます。

■調査結果①-2 有休取得義務認知者のうち、80%以上が取得義務を意識して有休を取れている

  • Q. 前問で知っていると回答された方にお伺いします。あなたは、年5日の有給取得義務を意識した上で有休の取得を行えていますか。


知っていると回答した方のうち、取得義務を意識した上で有休の取得が行えているかと質問したところ、80%以上が行えていると回答しました。これはかなり高い結果ではないでしょうか。もちろん、会社から指示されて有休を取得している方もいるかもしれませんが、自ら取得義務を意識して有休を取得する方が多いという結果は前向きに捉えて良いかと思います。では、実際の有休取得率はどうなっているのでしょうか。次の調査結果で見ていきたいと思います。

■調査結果② 6%の方が有休を「全く消化できていない」という結果に

  • Q.有休は毎年どのくらい消化できていますか。


「全て消化できている」が10%、「半分~8割程度は消化」が34%と、40%以上の方が半分以上の有休を取得できている結果となりました。この結果だけをみると、比較的有休は取れているのでは?と思ってしまいそうですが、この結果で最も注目すべき点は、「全く消化できていない」が6%もいることではないでしょうか。年5日の有給休暇取得が義務付けられているにも関わらずこのような結果になっていることは驚きです 。全体だけではなく、会社の従業員規模や職種などの回答者の属性によって差はでてくるのか見ていきたいと思います。

■調査結果②-1 企業規模別での差はほとんどない




まず【企業規模別】で見ると、大きな差はないようです。半分以上の有休を取得できている割合について、「100人未満」のみ全体の44%を下回った34%という結果になっています。

■調査結果②-2 職種別では「公務員」「事務職・技術系事務職」の有休消化率が高い



■調査結果②-3 業種別では「金融」「公共サービス」の有休消化率が高い




次に【職種別】【業種別】ですが、こちらは両結果ともに差が出ています。【職種別】では、「公務員」「事務職・技術系事務職」は有休消化率が半分以上との回答が比較的多くなっています。いわゆるオフィスワークが多い方々で高い傾向となっているようです。それに対し「保安職」「技能・作業員」は、全体と比較して十分に有休を消化できていないようです。さらに、「保安職」だけに着目すると「全く消化できていない」が44%とかなり高い値となっています。【業種別】では、「金融」「公共サービス」が有休消化率は高くなっています。一方で、「流通」「マスコミ・広告」は、低くなっています。ここまでの結果から、職種・業種によって有休取得実態が異なることが分かりました。次は、有休の取りづらさに着目し、取りづらいと感じたことがあるかどうかや、その理由についてみていきます。

■調査結果③ 有休を取得しづらいと感じたことのありなしは半々の結果に

  • Q.これまでに有休を取得しづらいと感じたことはありますか?


有休を取りづらいと感じたことがある/ないではほぼ半々の結果になりました。先ほど有休の消化率で差がでた【職種別】【業種別】ではどうなっているのでしょうか。

■調査結果③-1 「公務員(職種別)」は63%が「(有休の取りづらさを)感じたことがある」と回答



■調査結果③-2 「金融業(業種別)」は53%が「(有休の取りづらさを)感じたことがある」と回答




職種別において、有休消化率が半分以上との回答が53%の公務員は、63%が「(有休の取りづらさを)感じたことがある」と回答。また、業種別において、有休が消化しやすい業種である(有休消化率が半分以上の割合が60%)「金融業」は53%が「(有休の取りづらさを)感じたことがある」と回答しました。これは、全体と比較して4ポイント高く、比較的有休が取りづらい業界のようです。有休を取得できている日数は多いが、同時に有休を取りづらいと感じている人も多いことがわかります。つまり、有休の消化率が高いからといって、必ずしも有休が取りやすいことにならないようです。例えば金融業ですと、不正防止のために一週間の連続休暇取得が指示されることもあるそうなので、そういった影響もありそうです。それでは何故有休を取りづらいと感じているのでしょうか。

■調査結果④ 有休を取得しづらい理由は、特定の理由に偏らない結果に



Q. 前問で有休を取得しづらいと感じたことがあると回答された方にお伺いします。なぜそのように感じましたか?(複数回答)

最も多い理由としては、「有休を取得しても、仕事が増えるだけだから」の38%、次いで「休んでいる間の自身の業務の引継ぎが大変だから」が34%、「上司や同僚から嫌な顔をされるから」が27%、「他の社員も有休を取得していないから」が26%と、ある特定の理由に大きな偏りはないようです。その他にも、「評価が下がる」「他の社員が休みすぎ、仕事が忙しい」「人員不足」「人手不足」といった回答も見受けられました。人手不足についてはコロナ禍の影響もあるでしょう。他にも少数ではあるものの「有休取得申請が面倒だから」と回答した方は13%となっています。この「面倒だから」には、例えば「かなり事前での申請が必要で面倒だから」というような要素もあるかもしれません。そこで、いつまでに取得の申請が必要なのかを聴取し、有休消化率との関係もみてみました。

■調査結果⑤ 何日前から有休取得申請が必要かの問いに対して「決まっていない・わからない」が大半に

  • Q.現在お勤めの企業において、有休を取得する場合、何日前までに申請が必要ですか?








全体で「決まっていない・わからない」が46%とかなり多い印象です。会社規則として定めているものの、実際のところ何日前から申請が必要かを知っている人は少ないということでしょうか。【職種別】では「建設作業員」「保安職」「販売・サービス」は1か月以上前から申請が必要と回答している方が他の職種と比べ多い印象ですが、先ほどの職種別の有休消化率との関係性をみてみると、「建設作業員」は半分以上の有休を消化できている割合が50%、「保安職」は33%、「販売・サービス」は41%となっており、必ずしも『かなり事前での申請が必要=有休消化率が著しく低い』とは言えないでしょう。
【業種別】においても、「医療・福祉」や「通信・インフラ」「サービス」は1か月以上前から申請が必要と回答している方が他の業種に比べ多い印象ですが、先ほどの業種別の有休消化率との関係性をみてみると、「医療・福祉」は半分以上の有休を消化できている割合が42%、「通信・インフラ」は54%、「サービス」は37%となっており、職種別と同様に『かなり事前での申請が必要=有休消化率が著しく低い』とは言えず、あまり関係性はないように感じました。
ここまでの調査結果で、全体の6%が有休を全く消化できていないことや、全体の半数が有休を取得しづらいと感じたことがあるなど様々な実態が明らかになりましたが、回答者は働く上での有休の取得のしやすさをどのくらい重視しているのでしょうか。

■調査結果⑥ 83%が、働く上で有休の取得のしやすさは重要と回答

  • Q. あなたが働く上で、有休の取得のしやすさはどのくらい重要ですか。 


「とても重要である」「まあ重要である」と回答したのは80%を超えており、働く上で多くの人が有休の取得のしやすさを重視しています。それを裏付けるように、近年では求人情報に有休消化率を記載している企業や、「有休消化率が〇〇%以上の企業」で求人条件を絞ることができるなどの動きが見られます。

まとめ

今回の調査では、有休消化が十分にできている層もある一方で、まだまだ有休消化が十分にできていない方が多くいることが分かりました。年5日の年次有給休暇取得が義務付けられているにも関わらず、全く消化できていない方は6%もいる結果となっています。
加えて、約40%の方が年5日の有給休暇取得の義務化を認知していないという結果となりました。職場からの共有や通知はなかったのか、あるいはあったとしても、記憶に残らず、重要性の高い内容だと認識していなかったのか、いずれにせよ行使できる権利を知らない人が多いということは変わりありません。
また、有休を取りづらいと感じている方が約50%いることも深刻な問題だと思います。調査結果④から、取得しづらいと回答した理由は様々でしたが、どれをとっても会社としての有休に対する考え方や、職場の体制を改善することで、取得のしづらさは軽減されるのではないでしょうか。例えば、最も多かった「有休を取得しても、仕事が増えるだけだから」ですと、上司が仕事量をセーブし、気軽に他の社員に業務を引き継げる雰囲気作りも解決策の一つでしょう。「有休は個人で取るものだから会社として何もすることはない」という考えが、このような状況を生み出しているように感じます。「有休は申し訳なくとるもの」でも「有休は取りづらいもの」でもありません。誰もが取得できる権利です。まずは有休に対する意識を変えていくべきではないでしょうか。

 

【インターネットサーベイ調査概要】

<実施詳細>

  • 配信:2022/12/22
  • サンプル回収数:1,000サンプル
  • 配信・回収条件
    年齢:20歳以上60歳未満
    性別:男女
    配信地域:全国
    対象条件:有業者(自由業を除く)

<設問と回答選択肢(今回調査)>
:有休は毎年どのくらい消化できていますか。
選択肢:全て消化できている/半分~8割程度は消化できている/3割程度は消化できている/ほとんど消化できていない/全く消化できていない/あてはまるものはない

:現在お勤めの企業において、有休を取得する場合、何日前までに申請が必要ですか?
選択肢:1か月以上前から/2,3週間くらい前から/1週間くらい前から/数日くらい前から/決まっていない・わからない

:これまでに有休を取得しづらいと感じたことはありますか?
選択肢:感じたことがある/感じたことはない

:前問で有休を取得しづらいと感じたことがあると回答された方にお伺いします。なぜそのように感じましたか?(複数回答)
選択肢:他の社員も有休を取得していないから/休んでいる間の自身の業務の引継ぎが大変だから/有休を取得しても、仕事が増えるだけだから/上司や同僚から嫌な顔をされるから/取得する理由を伝えないといけないから/有休取得申請が面倒だから/その他

:2019年4月から、すべての企業において年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち、年5日の取得が義務付けされましたが、あなたはこのことを知っていましたか。
選択肢:知っていた/知らなかった

:前問で知っていると回答された方にお伺いします。あなたは、年5日の有給取得義務を意識した上で有休の取得を行えていますか。
選択肢:はい/いいえ

:あなたが働く上で、有休の取得のしやすさはどのくらい重要ですか。
選択肢:とても重要である/まあ重要である/あまり重要ではない/全く重要ではない

 

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