カオナビHRテクノロジー総研調査レポートREPORT

2020.10.01
調査

リモートワークで生まれた余裕と不安
~リモートワーク実態フォロー調査レポート2~

サーベイの背景

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、テレワーク、在宅勤務、リモートワーク等の「出社をしない」働き方(以降、すべての働き方を含めて「リモートワーク」とします)を始めた方も多いのではないでしょうか。カオナビHRテクノロジー総研では、2020年5月にリモートワーク実態調査を実施しましたが、調査項目を一部変更し、8月にフォロー調査を実施しました。本記事では、「勤務時間の半分以上は出社せずにリモートワークで働き、それ以外は就業場所に出社している」もしくは「基本的に毎日、リモートワークで働いている」を選択した、「リモートワーク中心の働き方」をしている有業者の回答結果を考察します。

サーベイの概要

今回は以下の要領にてインターネットを用いたサーベイを実施致しました

  • サーベイ対象:20代~60代の自由業を除く、かつ従業員数10名以上の組織に勤めている「勤務時間の半分以上は出社せずにリモートワークで働き、それ以外は就業場所に出社している」もしくは「基本的に毎日、リモートワークで働いている」300名
  • サーベイ期間:2020年8月21日(金)~2020年8月24日(月)
  • サーベイ内容:Web上でリモートワークについての質問項目に、選択・記述式で回答
  • 結果の集計・分析:回答結果を集計し、差異や傾向を抽出(レポート中にとりあげている2群の差異はt検定で有意を検出したものです。)

 

調査結果① 労働時間は、約半数は変化なし。増加が20.0%、減少は27.0%

  • Q. オフィスや就業場所への出社時と比較して、全部もしくは一部リモートワークを実施している今、「あなたの労働時間」はどのように変化しましたか。


「変化なし」が52.0%と約半数を占めていますが、労働時間が増加した人は20.0%、減少した人は27.0%と、若干減少した人の方が多い結果となりました。リモートワークでは「仕事終わりが曖昧になりがち」「休憩を取らずに働いてしまう」といった「労働時間が増加する」旨の指摘がありますが、今回調査でも5人に1人は労働時間が増えているようです。とはいえ、5人に4人は、労働時間は変わらない、もしくは減少しています。

調査結果② リモートワークによって、本業の労働以外の時間が増加した人は85.2%

リモートワークによって、労働時間が減少した人に加え、多くの人は通勤時間がなくなり、これまでと時間の使い方が変化しているはずです。
以前からリモートワークのため、時間の使い方に変化がないと思われる3名を除き、297名には「リモートワークを始める前よりも、費やす時間が増えた活動」について聞いています。

  • Q. リモートワークを始める前よりも、費やす時間が増えた活動があれば教えてください。(いくつでも)
    ※選択肢「特になし」の回答者を「なし」とし、「特になし」以外の選択肢を選んでいる回答者を「あり」としてグラフ化


回答者のうち85.2%の人はリモートワークによって、本業の労働時間以外で、何等かの活動時間が増えたようです。
 
では、どのような活動に充てられているのでしょうか?

  • Q. リモートワークを始める前よりも、費やす時間が増えた活動があれば教えてください。(いくつでも)


この設問は「同居人の有無」や「子供の有無」といった、世帯構成によって大きく回答結果が分かれていることが特徴ですので、全体の比率と世帯構成別の比率を出しています。まずはどの世帯構成でも、時間が増加した活動を見てみます。
 

調査結果③ 「趣味や余暇活動」「睡眠」の時間は、全体的に増加する傾向に

全体で2位と3位に挙がったのは、「趣味や余暇活動(29.3%)」「睡眠(29.0%)」です。この2項目について、世帯構成ごとの回答者の比率を見てみます。

  • ※回答数は「同居人あり、子供あり」が142名、「同居人あり、子供なし」が92名、「単身」が63名。以降のグラフについても同様。

単身世帯が若干、増加した割合が高い傾向にはありますが、世帯構成に関わらず、3割前後の人で費やす時間が増えています。リモートワークで一定の人に、時間のゆとりができたと言えるでしょう。
続いて調査結果④と⑤では、世帯構成によって差が認められた結果についてご紹介します。

調査結果④ リモートワーク&新型コロナウイルスの影響で「住居を共にする人」と過ごす時間が増加

全体で最も回答が多い項目は「家族・友人など親しい人と過ごす時間(32.7%)」となりました。しかしながら単身世帯では4.8%と低く、回答者の同居人の有無による差異が認められています。基本的には「住居を共にする人」と過ごす時間が増えた、と読み取れるでしょう。この結果は、リモートワークになった影響以上に、新型コロナウイルス感染症の影響が大きいかもしれません。

内閣府が2020年5月末~6月初めにかけて行った「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」では、新型コロナウイルス感染拡大前に比べて「家族の重要性をより意識するようになった」人が約半数、「家族と過ごす時間が増えた」と回答する子育て世代の人が約7割という結果も出ています。準ずる結果が、今回の調査でも出ているといえます。

調査結果⑤ 子供ありの世帯では「家事・育児の時間」が増加

全体で4位となった「家事・育児(27.3%)」は、世帯構成によって差が開いています。

子供がいる世帯では「家事・育児の時間」が増えた人が3割強となり、回答者の子供の有無による差異が見られます。

調査結果⑥ リモートワークによって14.5%の人は、「自己研鑽・学習の時間」が増加


「仕事につながる自己研鑽・学習の時間(14.5%)」は、順位こそ低いものの、「15%程度の人は増加している」と見ることもできます。一部の学習意欲が高い層では、自主的な学習がリモートワークによって促進されたようです。

調査結果⑦ リモートワークに不安を感じているのは、77.3%

リモートワークに伴い、多くの人は本業以外の活動をする時間のゆとりができた様子が見受けられました。しかしながら、リモートワークならリラックスできる、という訳にはいかないようです。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、「不安」を感じる人が増えたという調査やニュースはよく目にするのではないかと思われますが、当然「新型コロナウイルス感染症の感染不安」がその不安の大部分を占めています。本レポートでは「リモートワークにまつわる不安」に焦点を当て、「感染不安」は除いた形で結果をご紹介します。

  • Q. リモートワークをしている中で、不安に感じることを教えてください(いくつでも)
    ※「特になし」には、「特になし」を回答した人に加え、「新型コロナウイルスへの感染不安」のみを回答した人も含む


「リモートワークをしている中で、不安に感じることを教えてください(いくつでも)」という質問に対し、新型コロナウイルスの感染以外の何かしらの不安を選択した人は77.3%となりました。

調査結果⑧ リモートワークにおける不安のトップは「仕事や成果、提供価値の質や生産性」が低下すること

リモートワーカーはどのような不安を、具体的に感じているのでしょうか?

※「特になし」「その他」を除く

上位は「自分の仕事の質や生産性が落ちているのではないか(27.0%)」「部署、チーム、組織として、成果や提供価値の質が落ちているのではないか(23.7%)」といった懸念です。リモートワーク環境となり、個人として、また組織全体として、アウトプットが悪くなっているのではないかと一定数の人は不安を感じているようです。またこの上位2つは、上司と部下の間であまり差がなく、どちらも不安に感じている2項目となりました。
この2項目とは対照的に、「部下の有無」で差が開いている項目が見受けられます。各項目の上司(=部下あり群、回答数は143名)のみの回答率と、部下(部下なし群、回答数は157名)のみの回答率との差を見ていきます。

調査結果⑨ 上司は「周りがさぼっているのではないか」と不安に思う

上司と部下で差が大きい順に上位3つは「周りがさぼっているのではないか」「他の社員の業務で問題が起きた時に、自分が気づけないのではないか」「中長期的に、自組織の業績が下がるのではないか」でした。どの項目も、上司の方が部下よりも不安に感じています。


マネジメントする側としての責任感を表す結果と言えますが、「周りがさぼっているのではないか」と上司の21.0%が不安に感じているという結果には、調査結果⑩とあわせて、後ほど注目したいと思います。

調査結果⑩ 部下は「自分がさぼっていると周りに思われていないか」と不安に思う

部下側の不安のトップ5を見てみましょう。


全体でトップの「自分の仕事の質や生産性」を抑え、部下側の不安のトップは「自分がさぼっていると、周りに思われているのではないか」となり、部下側の回答者の約4人に一人が不安を感じています。また前述の通り、上司側の21.0%は「周りがさぼっているのではないか」という不安を感じており、部下側の「さぼっていると思われる」という不安は、実際に上司から「さぼっているのでは」という目線を受けているために、生まれているのかもしれません。

上司と部下のギャップはあるけれど…

部下側の3位には「自分が重要な情報を知ることができていないのではないか」という項目が登場します。上司側は必要十分な情報を部下に伝えているつもりでも、「まだ何かあるのではないか」という猜疑心が、物理的に離れた場にいると生まれるのでしょうか。
「上司と部下の認識にギャップがある」ということは、マイナスに聞こえてしまうかもしれませんが、ギャップのある項目や部下側の不安を見てみると、上司と部下の不安は表裏一体なことが分かります。
 


上司側が懸念する「自組織の業績」が悪化した結果として、部下側の懸念する「給与などの待遇」が下がるという関係があり、両者はともに「業績」に関心が向かっているとも捉えられます。
また部下側の「重要な情報を知ることができていない」という不安は、「情報の取得・伝達」の課題の存在を暗に示していますが、その課題こそが上司側の「他の社員の業務で問題が起きた時に気づけない」という不安を生んでいるといえます。
「さぼり」に関しては「周りがどうなのか」と「周りから自分がどう思われているか」に、上司と部下の立場の違いによって表出の仕方が分かれていますが、根本的には「さぼることは悪いことだ」という共通の価値観を持っているということです。
「業績をよくしたい」「よい仕事をするための障壁をなくしたい」といった共通の思いを、上司も部下も持っているのではないでしょうか。
 
リモートワークでは物理的な距離が開き、「お互いが見えない」時間が長いため、本来ならば不要な不安を生んでいる側面はありそうです。次回の記事では、リモートワークの組織における継続方針や個人の継続希望についての調査結果とともに、不安の解消に欠かせないと思われる「リモートワーク下のコミュニケーション」についての結果を、見ていきたいと思います。
 
 

【インターネットサーベイ調査概要】

<実施詳細>

  • 配信:2020/08/21
  • サンプル回収数:300サンプル
  • 配信・回収条件
    年齢:20歳~69歳
    性別:男女
    配信地域:全国
    対象条件:有業者(自由業を除く)のうち、従業員数10名以上の会社に勤める人で「勤務時間の半分以上は出社せずにリモートワークで働き、それ以外は就業場所に出社している」もしくは「基本的に毎日、リモートワークで働いている」を選択した人

 
<設問と回答選択肢>
:オフィスや就業場所への出社時と比較して、全部もしくは一部リモートワークを実施している今、「あなたの労働時間」はどのように変化しましたか。
選択肢:労働時間が非常に増えた/労働時間がやや増えた/特に変わらない/労働時間がやや減った/労働時間が非常に減った/もともとオフィスや就業場所への出社はなくリモートワークのため、比較ができない

 

:リモートワークを始める前よりも、費やす時間が増えた活動があれば教えてください。(いくつでも)
選択肢:家族・友人など親しい人と過ごす時間/仕事につながる自己研鑽・学習の時間/趣味や余暇活動の時間/家事・育児の時間/運動する時間/睡眠の時間/特に何もせず、のんびりする時間/副業・兼業など、本業以外の仕事の労働時間/その他(自由記述)/特にない(排他選択肢)

 

:リモートワークをしている中で、不安に感じることを教えてください。(いくつでも)
選択肢:自分の仕事の質や生産性が落ちているのではないか/部署、チーム、組織として、成果や提供価値の質が落ちているのではないか/周りがさぼっているのではないか/自分がさぼっていると、周りに思われているのではないか/自分が重要な情報を知ることができていないのではないか/自分の業務で問題が起きた時に、周りに気づいてもらえないのではないか/他の社員の業務で問題が起きた時に、自分が気づけないのではないか/周りからの評価が下がるのではないか/中長期的に、自組織の業績が下がるのではないか/中長期的に、自分の給与などの待遇が下がるのではないか/いつか失業するのではないか/自分の将来のキャリアがどうなるのか/新型コロナウイルスに感染するのではないか、もしくは感染しているのではないか/新型コロナウイルス以外の健康上の不安/特定の何かに対してではないが、漠然とした不安/その他(自由記述)/不安に感じることは特にない(排他選択肢)

 

<結果の集計における備考>
(1) 問:オフィスや就業場所への出社時と比較して、全部もしくは一部リモートワークを実施している今、「あなたの労働時間」はどのように変化しましたか。
については、選択肢「もともとオフィスや就業場所への出社はなくリモートワークのため、比較ができない」を除いた5スケールのうち、「特に変わらない」以外の4つの選択肢を肯定的と否定的な回答に2項目ずつまとめたうえで図表化、もしくは差異を比較している。
(2) 2群の差異のt検定について
図6は「同居人あり」の群と「同居人なし」の群、図7は「子供あり」の群と「子供なし」の群、図11は「上司」の群と「部下」の群の2群の差異の有意をt検定により検出している。
(3) 回答者の上司側(=部下あり群)と部下側(=部下なし群)の判別について
「あなたの直接の部下は何名ほどですか」という質問に、選択肢「1~5名」「6~10名」「11名以上」のいずれかを選択した回答者を上司側とみなし、選択肢「部下はいない」を選択した回答者を部下側とみなしている。

 

出 典
内閣府ホームページ「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/shiryo2.pdf

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