カオナビHRテクノロジー総研調査レポートREPORT

2022.04.08
調査

コロナ禍で職場の飲み会文化は消えるのか? 職場の「飲み会」実態調査

「飲(の)ミュニケーション」という言葉が生まれるほど、「飲み会」は大切にされて来ました。新型コロナウイルスの感染拡大前は、お酒の場での事前の根回しや、「職場で叱って居酒屋でフォローする」といったマネジメントなどが日常的に行われたように思います。

今回、カオナビHRテクノロジー総研では、こうした職場の「飲み会」に着目した調査を実施いたしました。

サーベイの概要

  • サーベイ対象:20歳以上60歳未満の自由業を除く有業者10,752名
  • サーベイ期間:2022年2月8日(火)~2022年2月10日(木)
  • サーベイ内容:Web上で職場での「飲み会」についての質問項目に、選択・記述式で回答
  • 結果の集計・分析:回答結果を集計し、差異や傾向を抽出(回答の構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはなりません。そのため、グラフ上に表示される構成比での計算結果は、実際の計算結果とずれが生じる場合があります)

 

調査結果① 2021年12月の「飲み会」開催率は8.8%。2019年と比べて、23.3ptダウン

Q.飲み会についてお伺いします。あなたの会社では、以下のそれぞれのタイミングで飲み会は開催されましたか。

まず、忘年会シーズンの12月に着目します。回答者に、2019年12月(日本での感染が確認される前)、2020年12月(第3波中。Go To トラベル停止)、2021年12月(オミクロン株の国内初感染を確認)を振り返って、それぞれのタイミングで、職場の飲み会が実施されたか、参加したかを回答してもらいました(図1)。

結果を見てみると、2019年12月時点では飲み会開催率が32.1%でしたが、2020年12月には7.2%と大きく減少しています。1日の感染者数が概ね100〜300名程度を推移していた2021年12月のタイミングでも、飲み会開催率は回復せず、8.8%にとどまっています。

調査結果② 2022年1月の「飲み会」開催率は5.8%。2019年と比べて、6.9ptダウン

Q.飲み会についてお伺いします。あなたの会社では、以下のそれぞれのタイミングで飲み会は開催されましたか。

同様に新年会シーズンである1月の「飲み会」開催状況についても、過去3年の変化を確認します(図2)。なお、「ダイアモンド・プリンセス号」で大きく注目を集めたのは2020年2月ですので、2020年1月は比較的、コロナ禍前の実態を反映していると考えられます。2021年・2022年ともに、前月の12月と比べて感染者数が大きく増加したタイミングです。

もともと忘年会と比べて、新年会はあまり開催されず、2020年1月時点の開催率は12.7%。2021年・2022年は、感染者数増を受けてか、開催率はいずれも5%程度と、低水準です。

調査結果③ ハイブリッド型勤務者で、飲み会への参加率が相対的に高い

  • n=10012
  • 回答時点(2022年2月)から直近1ヶ月の間に、休業もしくは長期の休暇が生じた回答者は除いて集計したため、本グラフのみサンプル回収数とベースが異なる
  • ここからは特に2021年12月の飲み会に着目をしてデータを確認します。

    図3では、回答者がオフィスに出社する状況の割合と、飲み会への参加の関係性を示しました。その結果、オフィス勤務が中心の場合(出社が勤務時間の90%以上)と、リモート勤務が中心の場合(出社は勤務時間の10%未満)において、飲み会参加率は7%程度なのに対して、出社とリモートワークを併用するハイブリッド型で勤務する層の飲み会参加率は約14%と相対的に高い値でした。

    調査結果④ 「事務系管理職」「営業職」が他職種と比べて飲み会参加率が高い


    続いて、職種別では、「事務系管理職」と「営業職」において、他職種と比べて、飲み会参加率が高い傾向が見られました(図4)。営業職は他職種と比べても、顧客との付き合いや、売上目標の達成祝いなど、仕事に関連した「飲み会」が開かれやすい傾向にある職種であると考えられます。

    また、「事務系管理職」と同じ環境で、似た性質の職務を担当していると思われる「事務職・技術系事務職」では、7.4%と参加率は低めであることから、社内の役割と飲み会参加の関連性がうかがえます。

    調査結果⑤ 「部長」の飲み会参加率は18.5% 一般社員よりも13pt多い

    回答者の役職別の飲み会参加率を図5に示しました。先の結果と同様に、基本的には、役職が高まるほどに「飲み会」の参加率が高くなる傾向がみられます。部長職相当では18.5%と最も高い参加率です。

    調査結果⑥ コロナ禍で「飲み会」が減ったことに寂しさを感じる人は12.4%


    6件法で回答を求め、以下のように集計した。

  • 「寂しくない」:(「1.全くそう思わない」「2.そう思わない」)
  • 「どちらともいえない」:(「3.あまりそう思わない」「4.ややそう思う」)
  • 「寂しい」:(「5.そう思う」「6.非常にそう思う」)
  • ここからは、コロナ禍で「飲み会」が開催されにくい状況を、どのように受け止めているのかに着目します。

    図6では、「飲み会」が開催されにくい状況を「寂しい」と回答した割合を示しました。全体傾向として、寂しさを感じているのは12.4%でした。年代別にみても、この傾向に大きな違いは見られませんでした(図7)。

    調査結果⑦ 職位が高まるほどに、飲み会が減ったことへの寂しさを感じる傾向

    続いて、職位別に見てみると、図5の参加率の結果と一貫して、基本的には職位が高いほどに寂しさを感じている傾向が見られました(図7)。部長相当では25.3%と、およそ4人に1人の割合で、飲み会が開催されにくい状況を「寂しい」と感じているようでした。ただし、全体的には、「寂しい」と感じる割合が、「寂しくない」を上回ることはありませんでした。

    調査結果⑧ 部下数が増えるほどに、飲み会が減ったことへの寂しさを感じる傾向

    最後に、直属の部下の人数と「寂しさ」との関係を図8に示しました。ここから、部下の人数が増えるほどに、飲み会が開催されにくい状況に対して「寂しさ」を感じる傾向が読み取れます。

    部下の人数が増えるほどに、業務時間で、ひとりひとりと接することができる時間が限られてくるため、「飲み会」という場を補助的に用いて、部下の様子の把握や、信頼関係の構築をおこなってきた可能性が考えられます。

    一方で、21人以上の部下を抱える層では、「寂しい」と回答した割合が9.4%と最も低くい値でした。部下数が多すぎる場合には、そもそも、ひとりひとりの様子を把握することに限界があり、マネジメント目的での飲み会という手段を重視しない可能性があるのかもしれません。

    まとめ

    感染者数が一時的に落ち着いた2021年12月であっても、職場の「飲み会」の開催率は8.8%に留まっています。加えて、こうした状況に「寂しさ」を感じる人は12.4%しかおらず、感染状況が落ち着いたとしても、当面の間は、以前のような職場の「飲み会」 が開催される可能性は低いと予測されます。マネジメント視点では、飲み会の場で得られていた上司―部下間のコミュニケーションについて、その機能や効果を検討し、代替手段を検討する必要があるかもしれません。

    カオナビHRテクノロジー総研では、こうした、非公式なコミュニケーションの場が働く人に与える影響について、引き続き注目していきます。

     
     

    【インターネットサーベイ調査概要】

    <実施詳細>

    • 配信:2022/2/8
    • サンプル回収数:10,752サンプル
    • 配信・回収条件
      年齢:20歳以上60歳未満
      性別:男女
      配信地域:全国
      対象条件:有業者(自由業を除く)

     

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